魔法の家
「お茶淹れたよ?」
「ごめん、今会議中!」
二人でいるのに。
いつものようで、いつもじゃない。
あなたも、私も、仕事中。
キーボードを叩いているとき。
ヘッドセットに耳をこらしているとき。
うわずる声でマイクと話をしているとき。
あなたの足音がぱたぱたと聞こえていた。
「お昼くらい、一緒に食べよう?」
「ごめん、私、昼休みまであと少し。」
「じゃあ、待っているよ。」
あなたの笑顔といつものリビング。
あなたはカップラーメン。
私はレトルトカレー。
食後はベランダで、あなたは植物の世話をする。
私は洗い物をしながら、窓越しにそれを眺めている。
昼休みが終われば、また、別々の部屋へ。
違う会社と違う仲間、違う仕事。
違う世界と繋がっている。
コロナウィルス対策で、唐突に始まったテレワーク。
『不思議な感じ、だね?』
二人の声が重なった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます