乱反射

 まだ見ぬ君へ

 まだ見ぬ愛しき君へ

 今日はとても風が心地よいです

 いつかこの気持ちを分かち合えるのだと思うと

 もう涙が溢れてしまいそうになって

 僕はここに生まれてきて良かったと本当にそう思えるのです

 いつか見たプールの水面に光がきらきらと輝いていたのをふと思い出しました

 そんな幼いころの記憶を君に伝えたい

 どこかのマンションのベランダで夜の都会を眺めながら僕は君と語り合いたい

 もし君が眠気を感じたとしても僕はそれを無視して話し続けてしまうかもしれない

 そうしたならきっと君はマットレスを窓際に持ってきて

 そこで手を握りながら僕が語るのを聞いてくれるかもしれない

 手を握りながら

 そうしたなら僕らの世界は繋がって

 君は君の思い出を語ってほしい

 そうしたなら僕らの世界は繋がって

 僕は君がここに生まれてきて良かったと本当にそう思うでしょう

 まだ見ぬ君へ

 まだ見ぬ愛しき君へ

 今日の海はとても静かです

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