夏一篇、削がれた意匠

 いつかは待ち焦がれた夏も

 今は酷暑がただ憎くて

 秋の到来を待つばかり

 あの日あのときの思い出も

 今では違う世界の夏のようで

 時の流れの鋭さに

 ただ息を呑むだけ


 プールの底に足がついた夏

 汗疹ができるまで走り回った夏

 甲子園の面白さが分かるようになった夏

 ひぐらしの物悲しさを知った夏

 静かに頭を垂れた夏


 そうした夏はどこへ行ったのか

 夏を探しに出かけたまま

 溶けかけた秋が私を待っている

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