第68話 一か月後の日常
珍妙な治癒魔法使いシロナが一人でフィールドをさまよっていて、ピンチに陥っていたのを助けてから約一か月経った。
色々あって、一時的に引きこもりを忘れたような状態にもなったけど、あれはトラブルが重なった故のでき事だったからしょうがない。
ただの『状態異常:外出』だったんだよ。
あの後は、特に変わった事なんてない。
特に進化を遂げるでも、前向きに前進するでもなく、僕は引きこもり生活に戻っていた。
布団の中でまどろみながらあくびをしていると、人の気配が近づいてくる。
部屋の扉閉めてなかったっけ?
「ふぁーあ」
「ニルバさん、寝すぎは体に良くないですよ。もうお昼です」
「ふぁ、ほう」訳(あ、そう)
声をかけて来たのはシロナだ。
プレイヤーホームの中を中心に行動してる日常に戻ったはずなんだけど、何でか彼女はよく僕の家にやってくるようになった。
で、僕の生活見ては、あれこれ言ってきて煩いんだよね。
そりゃ、最初はちょっとドキドキしたよ?
シロナ、見た目は可愛いし。それに悪い奴じゃないし。
女の子が僕のプライベート空間に入って来ることなんて……つまり家に来る事なんて、今までなかったわけだし。
でもさ。
でもね。
悲しいかな。
人間って慣れるんだよね。
「じゃ、おやすみ」
起こしに来たシロナに半目になって、会話を強制終了。
僕は、まどろみにひきずられるようにして、布団にダイブした。
「駄目ですってば」なんて言ってるシロナの言葉は、すでに言葉じゃなくてただのBGMだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます