1.4 滝藤の悩み
「私、ずっと会社の先輩から早く会社辞めろよといつも圧迫されてるんです。チームのリーダーなのですが、その先輩にとって気にいらない人にはいつも高圧的で退職勧告を何度も行ってくるんです。」
滝藤の口は止まらない。
「同じチームメンバーにも不当に長時間残業や休日出勤させたりするんです。確かに仕事でやらないといけない内容でもあるんですけど、わざと押し付けてくるんです。やらないと評価してくれないし。終わらなかったら全部あたしたちのせい。同僚はそれで心理的な負荷を負って、鬱病になりました。後輩の一人は手首を切って、入水自殺しようとしました。幸いにも、彼氏に見つけてもらって、未遂に終わりましたが。」
滝藤は唇を噛んだ。思い返しながら話すことで悔しく感じている。場の空気は重い。
「仕事は出来る人だから、私達ができなかった部分だけちょっと対応して、上層部はその結果をみて、高評価を下すんですよ。私達は何も評価されない。あいつはチームのメンバー達をそうやって不当な扱いしてるのに、なんとも思わないんですよ。他のメンバー達の中には会社に来れなくなった人も。私も・・・」
滝藤は涙ぐみはじめ、手首の内側を見せた。何本もの白い線が横に入っているのを見せた。大塚は目を見開いた。
「好きな仕事をしたくて、私はいまの会社にいる。でも、このままじゃ、もう・・・」
そういったところで、大塚に発言を遮られ、ギュッと抱きしめられた。ぐっとこみ上げてたものが吸い上げられていくような感覚。
「もっと私達、早く出会えば、よかったのかも。」
大塚はそういって、男性達のほうを見た。
「私もずっとセクハラ被害にあってるの。他にもずっとあってる女の子達がたくさんいる。そんなことしながら、ずっとあたしたちの近くでのさばっているムカつくオヤジがいるの。そこでさっきもこいつらに相談してたの。」
男性達はみんなして軽く会釈する。
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