我が家には幽霊さんがいる

中原 緋色

います

 こんなタイトルにしてしまったので、我が家の幽霊さんのお話をしましょう。

 鮮度の高いネタですよ。


 わたしの部屋の隣は、母と妹と弟の布団がある主寝室です。

 壁1枚を隔てただけなので、話し声なんかも当然筒抜けです。

 6月のある日、自室で作業をしていると、壁を殴るような音がしました。

 あまりにも連続する上に止む気配がないので、うるさい、と叫んでみました。

 我が家の末っ子長男は、きょうだいであるわたしとは歳が離れており、遊びたい盛りなお年ごろ。どうせ布団の上で暴れているのだろうと思ったのです。

 それでも音が止まらないので、わたしはとなりの部屋へ行って、直接注意しようと思いました。

 主寝室の半開きになっていた扉を、勢いをつけて全開にします。


 誰もいませんでした。


 怒られることを恐れて隠れたのかと思って、布団のかたまりのなかも探しました。

 弟どころか妹すらいませんでした。

 明らかに質量のある物体が壁にぶつかる音がしたんですが。

 わたしは首を傾げながら部屋へ戻りました。

 主寝室のカーテンは、風もないのにはたはたとはためいていました。




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