第8話 二軍開幕

二軍は一軍より、少し早めに開幕する。その為、ほぼ開幕一軍確定の一部選手も出場することがある。

「えー、今日より二軍のシーズンが始まるわけだが目指すところはもちろんテッペン。ルーキーも積極的に起用していくつもりだ。頼んだぞ!」

選手の前で、こういったことを話すのは今も違和感を感じている。おそらく選手たちも同じような心境かもしれない。


「二軍の開幕戦が始まる。願わくば勝って勢いづかせたい。負けたら…いや、負けを考えると本当に負けそうな気がするから、やめておこう。」

試合前に、相手の監督とオーダー表を交換する。これに関しては慣れた。

オーダーに関してはコーチと相談しながら決めている。いずれは自分ひとりで決めなきゃいけないと思っている。

選手をベンチ前に呼び、一声掛けた。

「緊張はしていると思う。緊張によるエラーとかはしょうがない。まずは切り替えることを最優先に!よし、行け!」


試合が始まり、二軍のシーズンが開幕した。

初回からピンチを招き2失点、その後も立て続けに先発した大卒3年目左腕が打たれノックアウト。

救援で登板した高卒4年目の右腕投手も相手打線に飲み込まれ失点。

中盤以降は立ち直ったが序盤の失点が大きく、響いてしまい開幕初戦を落とす。

試合後、コーチが「先発は、初回に打たれたことがきっかけで、内角の厳しいところに投げることができなくなってましたね。そこから相手に主導権を渡してしまった。次回登板は逃げずに投げれるかですね。」

先発した左腕も「自分で自滅し、試合を壊してしまった。打たれてからボールが真ん中にいくことが多々あったので次の登板ではそういった投球が無いよう、気をつけていきたい。次、好投できなければチャンスは来ないと思っている。」と語るなど危機感を示していた。


翌日は、前日の大敗とは打って変わって打線が爆発。先発投手も2失点完投と活躍。

「昨日も今日みたいに頑張ってくれ…。もちろん、あすも打線爆発を期待してますよ!」と選手らを鼓舞。

「昨日は、捉えた感触でも外野フライになってたりと調子が悪かったんですが、今日は詰まったか?という打球もヒットになるなど良かったんです。」

確かに昨日の試合は快音が響いても野手の真正面というシーンが多かったが今日は打ち損じた鈍い打球音でも、ヒットになるなど幸運に恵まれた試合だった。


その後、前半戦を3位で折り返す形となった。

7月に短冊で「前半戦、3位で折り返すことができたのは良かったと思う。後半戦、逆転優勝できるようチーム一丸となってファーム(二軍)日本一になりたい。選手のみんな信じてるよ!」と書いていた。(3枚)

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