トレードされた球界の元スター
@noritaka1103
第1話 トレード噂
「ファーム(二軍)は憂鬱だな。昨シーズン後半に当時のルーキーとの入れ替わりで二軍に落ちたけど、今シーズンは打撃でいくら結果を残しても一軍昇格の声が掛からない。
現役を退けってことなのかな。」
そう思いながらパソコンを開いて、他球団の投手分析を始めた。
二軍降格になって以降、独自で相手投手の癖などを研究するようになった。
「このピッチャー、牽制をする時と打者に投球する時と肩の位置が若干ではあるけど違うな。対戦の機会があったら注意しないとな。」
相手投手の分析を終え、今度は自球団の投手分析を始めた。
「○○くんが直球を投げる時と、変化球を投げる時の肘の位置がかなり違う。これはもしかすると、他球団に見破られてるかもな。」
二軍戦終了後に後輩選手から意味深な事を言われた。
「玉川さん、なんかネット上でトレードされる噂が出回ってますが、本当なんですか?」
その場では「そういった事は球団からは言われてない。でも引退勧告的な事は言われていた訳だから分からない。」と答えた。
それから2日後に一軍の監督に呼ばれ、ある事実を告げられた。
「玉川。明日から千葉に行ってくれ。先週あたりに千葉の球団から、『玉川選手をウチにくれないか?金額はそちらの希望額を出すから。』と言われてね。君のことを思って承諾した。」
その時に後輩選手に言われた、「玉川さんにネット上でトレードの噂がある。」を思い出した。あの時は「ネタだろう。」と思い、特に気に留めていなかった。
しかし、このトレードは正直自分の中でも「千葉球団は自分を必要としてくれている。今のチームから、一軍は厳しいかもしれない。これはチャンスだ!」と捉え、前を向いた。
先に大きな荷物をトレード先である千葉球団の寮宛てで送り、多少の荷物は自分で持っていった。
「18年間、お世話になりました。新天地でも頑張ります。ありがとうございました。」と書面でコメントを残した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます