第17話 セレスの勧誘活動_3
魔族の侵攻によって領土を失い続けてきた人類。
数々の国が魔族に支配され、今や残された国と呼べる場所はこのバーランベイン王国のみとなった。
世界中からの難民が押し寄せる最後の砦。人口は増加し続け、世界中から優秀な人材が流れ込んできたこの国は、皮肉なことにこのような事態になったことで王国の歴史上最も繁栄の時代を迎えることとなった。
様々な国の技術や文化がごちゃ混ぜになったこの王都は、雑貨屋一つとっても非常にレベルが高い。
競争率の高さから粗悪な店はすぐさま駆逐され、優れたもののみが生き残るためだ。
そんな王都の外れにある小さな魔導具屋『エヴァンズ魔導具店』は、厳しい競争の中を未だに生き残っていた。
この店に並んでいる商品はほとんどが店長であるフランチェスカ・エヴァンズお手製の品だ。
有用性は度外視し、「面白そうだからとりあえず作ってみる」という、仕事と趣味の区別がついていないフランチェスカによって造られた品々は、多くがいつ使えばいいのか定かではないような奇天烈な商品だった。
そのため決して繁盛しているとは言えないこの店だったが、逆に『この店でしか買えない』商品が多数存在しているため、知る人ぞ知る名店としてその地位を盤石なものとしていた。
――だがそれ以上にこの店に足しげく通う常連客が多いのは、おそらく店長であるフランチェスカ自身の魅力のためだろう。
「さて、そろそろ閉店の時間ねぇ」
棒付きのキャンディを全て舐めつくしたフランチェスカは、残った棒を屑籠に放り込んで椅子から立ち上がった。
腰まであるウェーブのかかった栗色の髪。頭部には大きな黒い三角帽子を被っている。
切れ長の瞳には長いまつげが生え揃っており、眠そうな垂れ目の目元には小さなほくろが印象的だった。
肉厚の真っ赤な唇に残ったキャンディの名残を、艶やかな長い舌がペロリと舐めた。
まさに女盛り真っただ中といった感じの、妖艶な雰囲気の漂う抜群の美女だった。
しかしそんな美貌も、彼女にとって二つ目に目立つ要素でしかない。
彼女の最も人目を引く部分は、なんといってもその豊満過ぎる胸だった。
フランチェスカ自身の頭よりも大きい二つの乳房がどどんと存在を主張し、誰しもがつい目で追ってしまう存在感を放っていた。
しかも、そんな大きな胸が入る服はほとんどなく、フランチェスカは大きすぎる胸を下半分だけ隠す程度の軽装で済ませているため、乳房の上半分がほとんど丸出し状態だった。
こんな女性が店長を務める店とあっては、男たちがつい通ってしまうのも無理はないだろう。
今までの数え切れないほどの男たちがフランチェスカに言い寄ってきたが、気に入った子がいればたまに相手してやる程度で、彼女は未だに独り身を貫いていた。
そんな彼女の日常は、喧騒とは無縁の静かなもの。
この王都の外れでひっそりと店を構え、日がな一日のんびりしたり、気が向いたら適当に魔導具を作ってみてそれを店に並べてみたり。
開店時間はおろか、店を開けるかどうかすら気まぐれ。そんな気ままな一日をもう十年近く続けていた。
そんな彼女の一日が終わろうかというその時、店のドアが開けられカランコロンと鈴が鳴った。
「ごめんなさぁい、もう店を閉めようと思ってるの。買うものが決まってないなら、」
「つれないことを言いますねフランチェスカ」
聞き覚えのある声に、フランチェスカは思わず客の方を向いた。
メイド服を着た美女。フランチェスカもよく知る人物だった。
セレスティア・ストレイン。フランチェスカの旧友だ。
「あらまぁ。随分懐かしい顔じゃない。あなたがこの店に来るなんて何年ぶりかしら?」
「六年ぶりですね。あの日以来……ということになりますか」
「そっかぁ、もうそんなに経つのねぇ。お互いもういい年した女になっちゃったわけか」
経過した月日ほどの見た目の変化はお互いになかったが、互いの記憶にある互いの姿よりも、確かに大人になっていた。
「その服を見る限り、まだ王女様の召使いしてるみたいねぇ。すぐ飽きると思ってたけど」
「貴女こそ、相変わらず趣味の悪い魔導具作りはやめていないようですね」
「もちろん。アタシはこれでご飯食べてるんだから」
若干の距離感はありつつも、互いに軽口を飛ばし合うくらいには親しみを見せる両者。
その流れを最初に立ち切ったのはセレスだった。
「貴女ほどの黒魔導士なら、こんな生計の立て方をしなくてもいくらでも道はあったでしょうに」
事実ではあるもののやや棘のある言い方をあえて選ぶセレス。
だがフランチェスカは気にも留めない様子を見せた。
「アタシは今の生活に十分満足してるわよ」
「ですがそれもいつまで続くか。ご存じの通り、先日ついにクラッフ村が魔族の襲撃に遭いました。このままではこの国が魔族に占領されるのも時間の問題でしょう」
「その時はその時よ。それが人類の寿命だったと思って諦めるわぁ」
「まだ抗えるとしたら?」
含みを持たせたセレスの言葉に、フランチェスカはちらりと横目で彼女を見やった。
「クラッフ村の戦闘は人類の勝利に終わりました。魔王軍幹部の一人、アーグヴァランは撃破され、周辺地域の防衛にも成功。魔族の侵攻を逆に押し返す形で領土を奪還できました」
「聞いたわ。異世界から来た勇者様の活躍があったんだってぇ?」
「その通りです。ホウジョウ・カケル様。あの方のスキルは極めて強力です。僅か数名で魔王軍幹部を撃破できるほどに」
セレスの訪問の理由になんとなく予想がついていたフランチェスカも、ここでようやく確信に至った。
「なら精々頑張ってちょうだい。新しい勇者が魔王を倒してくれること、陰ながら応援してるわぁ」
とぼけるフランチェスカ。
遠回しな言い方では話が進まないと理解したセレスが、ついに本題に入る。
「カケル様のパーティメンバーに加わっていただけませんか」
「やっぱりそう来たかぁ」
フランチェスカは可笑しそうに苦笑すると、セレスの横を通り過ぎて店の扉にかけている札を『閉店』に変えた。
「何か飲む?」
「お構いなく」
「アタシはいただくわよ? なんだか素面じゃ聞いてられない話になりそうだし」
茶化すように笑いながらフランチェスカは酒瓶を取り出してグラスに注ぎ始めた。
「意外でした」
「なにがぁ?」
「問答無用で突き返されるかと思っていました」
「そんなことしないわよ。あなたとは十年来の友人なんだから」
そう言いながらフランチェスカは酒の入ったグラスを一口飲んだ。
「それに、あなたがどんな交渉材料を用意してきたか興味あるしね。いったいどうやってアタシを説得するつもりなのか、お手並み拝見するわぁ」
まるでこの会話自体が茶番だと言うかのようなフランチェスカの態度。
こういう女性だというのはセレスも重々承知していたし、実際彼女の心を変えるのは容易くないと心得ていた。
セレスも意を決し、交渉を開始した。
「カケル様がどのようなスキルをお持ちか知っていますか?」
「いいえ。興味はあるから一応聞いておきましょうか」
「補助魔法を重ね掛けするというスキルです。同じ補助魔法を同じ対象に何度も多重に施すことで、通常では有り得ない数値まで特定のステータスを上昇させることができます」
「…………冗談ってわけじゃなさそうね。ふぅん、それはまた凄いスキルが出てきたわねぇ」
少なからず驚いた様子のフランチェスカ。
黒魔法の深淵に足を踏み入れた彼女であっても、そんなスキルは聞いたことがない。
同時にそれがどれほど強力なスキルなのかも、瞬時に理解できた。
「まだカケル様のスキルの検証はできていませんが、少なくとも現時点でも、カケル様のスキルを使えば魔王軍幹部最強と名高かったアーグヴァランを倒すことができると証明されました。それも、たった一撃で、です」
「そんなスキルを持ってるなら、勇者になんてせずに秘密兵器として扱えばよかったのに。せっかくのスキルもネタが割れちゃったら対策されちゃうじゃない」
ミルフィと同じ懸念を示すフランチェスカ。
こういう思考が即座にできるというのも、セレスがフランチェスカを是が非でもパーティに加えたい理由の一つだった。
「こちらとしても本意ではありません。しかし誰にとっても突然のことでしたし、王の決定です。どうしようもありませんでした」
「ふぅん。まあこんなご時世だものね、救世の英雄の誕生を大々的に宣伝したくもなるか。で、『パーティ』ってことは、もしかしてそのカケルとかいう子、冒険者になりたいって?」
「その通りです。まだこちらの世界に来られてから日が浅いので、しばらくはこの世界に慣れていただくことから始める必要がありますし、まだカケル様自身の戦闘力が低いので強化期間を設ける必要があるでしょうが、いずれは魔王討伐も、と考えています」
セレスの説明を受けたフランチェスカは、ふぅ、と悩ましげに一度嘆息して再びグラスに口をつけた。
「難儀な話ねぇ。あなた、まだ魔王討伐なんて話を真顔でしちゃうのね」
「魔王の討伐なくして人類の生き残る道はありません。貴女こそ、本当にこのまま魔王の侵攻を許すつもりですか。人類が滅びる様を、本当に指を咥えてみているというのですか」
フランチェスカはその問いには答えず、グラスを傾けたまま沈黙していた。
「私たちは……確かに魔王に敗れました」
二人の間で意図的に避けられてきた話題に、ついにセレスが踏み込んだ。
「私たちのパーティは、当時最高峰の勇者パーティでした。力も、絆も、これ以上はないと確信していました」
「……」
「しかし負けました。あの魔王の……常軌を逸した力の前に、私たちは……何もできませんでした」
七年前の話だ。
セレスとフランチェスカは冒険者として、勇者パーティに所属していた。
非常に高い戦力の揃った優秀なパーティで、強力な魔族の討伐実績もあるという破格のパーティだった。
しかしそんな彼女らのパーティでも、魔王には手も足も出なかった。
セレスとフランチェスカは、魔王と交戦しながらも逃げ延びた数少ない人物の内の一人だ。その時の魔王の強さは七年経った今でも思い出せる。
以来、フランチェスカは冒険者を引退。セレスはミルフィの使用人としての道を歩み始めた。
それぞれ、かつて夢見た魔王討伐の悲願は夢物語だったと心の内に仕舞い込んだ筈だった。
それがまさか、七年越しにこんな話を持ち掛けられるとはフランチェスカも予想外だった。
「その上で、私は貴女にこの話をしているんです」
「つまりそのカケルっていう子は、『彼』より強いって?」
「個人としての実力では比較になりません。カケル様はあくまで、強力なスキルをお持ちの一般人と考えてください」
「……んー」
「ですので、あの方の真価を発揮するためには、優秀な味方が必要なのです。他のパーティメンバーは揃えました。後は黒魔導士……貴女だけです」
「アタシじゃなくてもいいじゃない。黒魔法の腕だって、アタシより上なら他にもいるし。多分」
「貴女は勇者パーティとして活動してきた経験があります。貴女以上の適任はいません」
「よしてよ。何年前の話よそれ。アタシがまだ生娘だった頃じゃない」
冗談めかして言うフランチェスカではあったが、その口調には明確な拒絶の意思が感じられた。
「カケル様の力を上手く運用できれば、魔王すら討伐できる可能性があります。他ならない、魔王と直接戦ったことのある私がそう言うのです。少なくとも、今の人類がおかれたこの絶望的な状況からは脱却できます」
「悪いけど他を当たってちょうだい。やっぱり興味ないわ、その話」
「フラン!」
「アタシはもう、魔王とか勇者とか、その手の話はこりごり。今はこの小さな店でのんびり過ごせたら十分」
「この店だってじきになくなりますよ。先程言ったでしょう。クラッフ村が戦場になったんです。もう魔族の手はすぐそこまで迫っている!」
「アタシもさっき言ったでしょ? その時はその時よ」
滅びすら諦観するというフランチェスカの意思は固く、初めから交渉の土俵に上がろうともしていない。
彼女が今セレスと話をしているのは、あくまで好奇心によるもの。
フランチェスカがこんな話を受けるつもりはないというのは、セレスも承知していること。その上で彼女がどんな手段でフランチェスカを懐柔するつもりなのか、それ自体に興味があるだけなのだ。
「……彼らの無念を……かつて同じパーティを組み、魔王に殺された彼らの仇を討ちたいとは思わないのですか」
「次はそう来るわけね。悪いけど、その気はないわ」
「……ッ」
「……勝ち目がある戦いならね、アタシだって考えないでもないわよ。でも、あの魔王の強さ……あなたも見たでしょ? あれは人が太刀打ちできる相手じゃない」
「勝ち目はあります! カケル様の力があれば!」
食い下がるセレスに、フランチェスカはとうとう疎ましそうな視線すら投げた。
「悪いけど、そう思いたがってるようにしか見えないわ。魔王軍幹部を倒したっていうんだから、その勇者の力は本物なんでしょう。でも、あの魔王は別でしょ。あんなの……倒せっこないわ」
「……」
「あの魔王と戦ってまだ戦意が残ってるっていうのは、素直に凄いと思うわセレス。でもアタシはあなたほど強くない。心が折れちゃったのよ。こんな奴と戦ってるんなら、そりゃ人類が滅びるのも当然よね、ってね」
「……」
「だからね、セレス。アタシを説得したいなら、そんな上辺だけの言葉じゃなくて、本当のところを話してみなさいよ」
「……どういう意味ですか」
「アタシがこう言うってこと、予想できてたでしょ? 振られちゃうってわかってたでしょぉ?」
「……」
「それでもアタシに固執する理由、何かあるんでしょ? 教えてちょうだい。アタシを口説きたいなら、もうそこに賭けるしかないわよぉ?」
長い沈黙が流れた。
やがてセレスは諦めたように深く嘆息した。
「貴女にはお見通しですね。できるなら、このことは伝えずにおきたかったのですが」
「水臭いこと言わないのぉ。アタシ達の仲でしょ?」
「……そうですね。では、怒らずに聞いてください」
「へぇ、アタシが怒るようなことなんだぁ」
フランチェスカはむしろ興味が沸いたようで、先程まで押し出していた拒絶感が薄れはじめた。
「カケル様の元いた世界は、我々の想像を絶する世界です。それも、良い意味で、です」
「というと?」
「その世界には魔族はおらず、魔物と呼べるほどの外敵もおらず、人間以外の知的生物もいないそうです。そして何より、魔法が存在しない……そんな世界です」
「……」
フランチェスカは初めてはっきりと驚愕の表情を浮かべた。
「冗談みたいな世界ね」
「そんな世界で人類は数千年、数万年と繁栄し続け、地上の支配者であり続けたのです。我々が想像もできないような発明がいくつも生まれ、文明レベルはこの世界よりも数百年は先を行っているようです」
「あははっ。その勇者も可哀想に。そんな世界からこっちに転移してきちゃったなんて」
「そう、そこが問題なのです。今でこそカケル様はこの世界に興味を持っておられるようですが、それもいつまで続くか。……カケル様の力は本物です。窮地に立たされた人類の最後の希望と言っていい。そんな方がもしこの世界に失望し、元の世界に帰られてしまいでもしたら、人の未来も閉ざされます」
「……ねえちょっと待ってぇ? まさかとは思うけど……そういうこと?」
セレスは少しだけ言いづらそうに言葉を詰まらせたが、やがて首肯した。
「カケル様には、この世界に留まりたいと思っていただく必要があります。ですので、カケル様のパーティメンバーは優秀でありながら、何より美女である必要があるのです」
「あはははははッ!!」
フランチェスカは腹を抱えて爆笑した。
楽しそうなフランチェスカとは裏腹に、セレスは恥じ入るように俯いた。
「な、なるほどなるほどぉ! セレスプロデュース、勇者様の異世界満喫ツアーってわけねぇ! あははははは!」
「……この計画はミルフィ王女殿下のご発案です。殿下と私は利害が一致している協力関係です。殿下は異世界へ通じる鍵として、私は魔王を討伐できる可能性を秘めた勇者として、カケル様にはこの世界に留まっていただく必要があるのです」
「ふぅ~ん? それで、アタシに娼婦の真似事でもしろって? それともアタシのこのオタカラで勇者を悩殺しちゃえばいいのかしら?」
フランチェスカは楽し気に上体を軽く前のめりにする。それに合わせて彼女の豊満過ぎる胸がぼよんと一度揺れる。
「そうしていただけると大変ありがたいですが、そこまでしていただく必要はありません。先程も言った通り、貴女には何よりもかつて勇者パーティで活動してきた冒険者としての実績を何よりも評価しています。その上で、貴女の美貌はパーティメンバーに最適、ということです」
「ふふ……ふふふ……! 面白いわね……面白い話だわ」
妖しげに笑うフランチェスカ。その様子からは先程までの拒絶の気配は薄れ、むしろ興味の方が強く垣間見えた。
普通はこんな話をされたら冗談じゃないと突っぱねられてもおかしくない。
だからこそセレスも可能な限りこの話はしたくなかったのだが、むしろフランチェスカにはこちらの方が効果的だったらしい。
相変わらず要領の掴めない女だ、とセレスは呆れた気分だった。
「ちなみになんだけど、もしその勇者があなたを気に入ったらどうするつもり? 受け入れるの?」
「無論です。もしそうなれば、私はカケル様の子供を身籠る覚悟すらあります」
「……ふふふ……」
「私どころか、ミルフィ王女殿下すらそのお覚悟ををお持ちのようです。私の貞操と人類の未来……天秤にかけるまでもありません」
淡々と言い放つセレス。彼女の性格をよく知っているフランチェスカは、それが口先だけの言葉ではないと理解できた。
「……いいわよ」
そしてついに、セレスが待ち望んでいた答えが返ってきた。
「この話、受けてあげてもいいわ」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。ただし条件があるわ。アタシは魔王討伐になんて少しも興味ない、それは変わらないわ。だからそういう戦いには付き合わない。それはいいかしらぁ?」
「分かりました。こちらでなんとかしましょう」
「次。抜けたくなったらいつでも抜けるわよ。アタシはあくまで、あなたが下の世話までするって豪語するその勇者様がどれほどのものなのか興味があるだけ。つまんない男だったらさっさと抜けるから」
「……」
それについてはセレスも自信がなかった。
カケル本人がフランチェスカのお眼鏡に叶う男かどうかは、かなり怪しいところだ。
だがこれはフランチェスカから引き出せた最大限の譲歩だ。飲むしかない。
「……いいでしょう。その条件で応じます」
「決まりねぇ。まさかあなたともう一度パーティを組むことになるとはねぇ。なかなか切れない縁じゃないの」
「そのようですね」
その感慨はセレスも感じていたものだ。
かつて同じ勇者パーティに属し、魔王に敗北し、唯一生き延びた二人きりの仲間。
それが七年ぶりに再びパーティを結成するということに、形容しがたい感情が浮かび上がった。
パーティメンバーの最後の一人、黒魔導士もこれで確保できた。
これでついにカケルのパーティメンバーが決定した。
人類の存亡をかけた計画がついに動き出す。
ここからが本番だ、とセレスは決意を固めた。
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