俺も青春がしたい。

あたまおかし

第1話 青い空。

 朝日が眩しい。


 そんな気がしていた。カーテンはまだ開いていない。



 今日もいつも通り。


「おはよう」なんて、美少女が起こしに来てくれるわけじゃない。


 携帯電話のアラームを止めるその手は、いつもの右手で、特別な力が宿っているはずもない。


 第三の眼は無いので、いつもの両目でいつも通りの部屋を見た。すごく汚い。



 いつもの妄想が妄想のままだという現実は受け止められるが、今日が春休み明けの最初の登校日だという現実は受け止められない。


 しかし、学校中の女の子達が待っている!という妄想をしながら着替えることにした。



 朝ごはんは食べない。なぜならその時間を睡眠に使いたいから。


 それでもまだ眠たいのはきっと、昨日の夜に女の子達が寝かせてくれなかった。という妄想、のせいだろう。


 本当はよく寝た。10時間くらい。



 そして、8時起床、15分間の準備、14分間の通学で8時30分の登校時刻に間に合う。そんな完璧な計画を考えながら歯を磨く。


 口を洗いながら時間を確認すると、時計は8時14分を示していた。

 急いで学校指定の靴を履き、リビングにいる家族達に行ってきますの挨拶をする。



「今日から俺も高校2年生だ。青春、待ってろよ!」という少しイタい台詞を声には出さず、脳内で再生し勢いよくドアを開けた。


 今日はあいにくの雨だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る