第2話 悪夢

ドルイドは闇の中を落下し続けた。

自分は死んだのかもしれないと思いながら、ならば苦しまずに死ねたのだろうとぼんやり考える。

では自分はどこに向かっているのだろうか。

このまま落下し続ければ地獄に辿り着くのだろうか。

ドルイドが闇の底を見ると何かが見えた。

ドルイドはわずかに目をすがめて、それが何かを確かめる。

そしてその正体を知った時、はじめてドルイドはパニックにおちいった。


それは信じられないスピードでこちらに向かってくる自分だった。

彼女は飛行棒にまたがり、落ちてくるドルイドを迎え入れるように両手を広げて笑っていた。

彼女の目的を知って、ドルイドは自分のしでかしたことを後悔した。

彼女は自分の捨てたものを奪い取ろうとしているのだ。

ドルイドが恐怖に顔を歪めると、あちらのドルイドはさらに笑みを深くした。

それは一瞬の出来事だった。

2人は鏡のように交錯し、そして入れ替わった。

地上へ消えていく彼女に手を伸ばし、ドルイドは絶叫した。

だがその叫び声は闇の中に飲まれていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る