弟
私には弟がいるのだが、どうしようもない阿呆でありなんの才能も持たない者と思っていた。
久しぶりに生家に帰り弟に会っても身体だけが逞しくなっており、やはり阿呆であった。
然し茶の間に飾られた額には弟が詩で賞を獲った証があり、私は考えを改めた。
詩の題を見る限り私と同じ様な暗い詩を書いたのだろう。
だが暗さを理解できるということは明るさを理解できるということであり、奴の秘めたる精神が成熟しつつあるというのを感じた。
奴は私と同じく内向的である。己の中に宇宙がある。
私は初めて弟と血が繋がったと感じた。
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