《3巻発売日》第977話 お江とお初

「お江、何一人で無理しているのよ、私が気がつかなかったらどうなっていたと思うの」


「・・・・・・初姉上様、御免なさい」


「で、あれはなに?」


「あれがミライアちゃんの仇、マコみたいな不思議な力を持つみたい」


「真琴様と同じ?陰陽師?修験道の力でも身につけた者?」


「わからないけど、狐火がどうとか言っていたし、闇の力がどうとかも、それがなければ討てていたのに」


「兎に角、真琴様に報告よ」


「・・・・・・うん」


◆◇◆◇


バシンッ


私は初めてマコに頬を叩かれた。


そして強く抱きしめられた。


「馬鹿な事するなよ。ミライアが殺されるほどの腕なんだぞ、少しは考えろ、一人で無茶してくれるな。もう誰も失いたくない」


初めて怒られ、そして本気で心配された。


「マコ・・・・・・ごめんなさい」


「お江、刃を交えてみて感じたことはないか?」


「うん、詳しくはわからないけど、『狐火』や『闇の力』とか言っていたよ」


「・・・・・・やはりか・・・・・・」


マコはいつにも増して険しい表情を見せてた。


「父上様、俺たちで陣を組んだのに妖魔が入って来れましょうか?」


そう熱田と神産がマコに向かって言うとマコはため息交じりに、


「まだまだ修行が必要だろう、この位の結界などでは薄い」


「では、父上様が結界を貼り守を強くして」


「・・・・・・いや、狙っている命は俺のはず、結界を強くするは容易いが、そうなれば城には入れん。その時敵がなにをし出すかがわからぬ。むしろ城におびき寄せるようにしていたい」


「では、城で迎え撃つのですね」


「ああ、ここで完全に滅する。二度と現れないようにな」


マコは城の絵図面を見て何やら思いついているようだった。

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