第843話 オスマン帝国アメフトス皇帝

「くそっ、あの時パシャ・アンカラを始末しておけば」


と、後悔していると柳生宗矩が、


「仕方ありません。家臣をそう易々と処分できる冷酷無慈悲な方なら、御大将は陛下と仲良くなさろうとはしないはずです。御大将も以前、家臣に考えが合わない者がおりましたが、処断いたさずお解き放ちに・・・・・・。その者は後に、イスパニア帝国と結託してしまったので命果てましたが」


噂には聞いたことがある。

確か、高山なにがしと言う者だったはず。


「常陸様も私と同じ事を・・・・・・」


「それより、陛下、黒海が制圧されてしまった今、イスタンブールは危のうございます。我が国の艦隊が来れるエーゲ海に居を移しましょう」


と、柳生宗矩は地図を開いてエーゲ海を指した。


「黒海にロシア帝国を牽制するのに、日本から買った戦艦を置いていたのが裏目に出てしまったのが悔しい。まさか、乗っ取られるとは。宗矩殿が言うように、イズミールに居を一端移す」


大日本合藩帝国から購入した戦艦でイスタンブールはいつ砲撃されてもおかしくない。

戦艦を購入したとき、常陸様の戦術も研究している。

海からの艦砲射撃で港、城、町を無力化して上陸する戦術に耐えうるだけの備えはイスタンブールはしていない。

東の内陸に逃げれば、東の大陸からの大軍の恐れもあると知らせが届いた。

そうなれば、頼れるのは常陸様の艦隊。

その艦隊が来られる場所に避難が無難だろう。


急いで西のエーゲ海に馬を走らせた。

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