第794話 真っ赤風呂

「うわっ、聞いていたけど、マジこれやるんだ・・・・・・」


と、案内された風呂は大理石で4・5人は軽く入れる浴槽を持つ風呂。


トマト汁風呂。


壁は、美少女の大理石の石像が並んでいる。


浴室は若干酸っぱい臭いが漂っている。


作った職人の精神が心配されるような、美少女のあんぐりと開けた口からはお湯がドボドボと浴槽に出続けている。


じゃんけんで勝ったお江が、一緒に入ることになったのだが、いつも無邪気なお江も、若干引き気味の視線をその湯口に送っていた。


「お江、確か見たことあるんではなかったっけ?」


「ん~どうだったかな。もう忘れたよ。って、マコ~この石像に浴槽のお湯かけると石像美少女血流しているみたいだよ」


「うわっ、止めて。なんか、かわいそうだから」


「流石、バードリちゃんの趣味だね」


と、頭からトマト汁をかけられた大理石で出来た美少女像を見ていると今にも泣き叫びそうで心が痛い。


「こうだな、石像を作るならもっと可愛く作らないと。これリアルに再現し過ぎているから気持ち悪いんだよ」


「あははははははっ、確かに。マコの書く美少女とは全然違うもんね。現実的すぎて石膏で固めたような美少女だもん。まぁ~バードリちゃんがそう言うことはしないのは、わかっているけどね」


「こりゃ~誤解されるよな~」


と、酸っぱい臭いが漂う湯で体を温めて茶々と交替すると、浴室からは悲鳴が聞こえていた。


うん、そうなるよな。


落ち着かない風呂は不評で、それをバードリ・エルジェーベトに言うと残念がっていた。


無理があるから、あんなお風呂。


秋葉原のオタクだって喜ばないから。


いや、秋葉原のビジネスホテルに存在したら、そのホテルは人気になるか?などと一人考えた。

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