第791話 リエーガ城塞
スロバキア王国リエーガ城塞。
平成の時間線では、クロアチア共和国の地。
この時間線では、スロバキア王国領。
アドリア海に面した港で、大小の島々を入った入江の所にあり、島々を天然の要害にする事で守りが強い地になっていた。
その湾を進む。
「なんだ、俺が指南するほどでは、ないじゃん」
「そうですわね。これなら両岸から砲撃も出来ましょうから」
と、茶々も納得していた。
港に近づくと迎えの小型蒸気機関船が出てきた。
「加藤孫六嘉明、常陸様を迎えに上がり申しました」
と、大声で叫ぶ武将。
名将、加藤孫六嘉明、俺が知る歴史戦では賤ヶ岳七本槍の一人。
この時間線でも羽柴秀吉の家臣には変わりなく、活躍の地はここになっていたというわけか。
案内されるがまま桟橋に船を着け降り、
「出迎え、ご苦労」
と、挨拶をすると
「改めまして。この城の築城を任されました、加藤孫六嘉明と申す者に御座います。何卒お見知りおきを」
「石田三成が作ったわけではないの?」
「はっ、三成は開墾に力を入れております」
スロバキア王国の復興は急ピッチに行われていた。
「どれ、バードリ・エルジェーベト王女に会わねばな。城の案内を頼む」
リエーガ城塞、遠くから見ていると石積みの中世ヨーロッパらしい城塞に見えていたが、一歩足を踏み入れると、日本式の木造天守を持つ城として作られていた。
和洋折衷だ。
バードリ・エルジェーベト王女の趣味に合わせて百合百合な装飾を想像していたが、至って普通で、俺が建てた城のほうが異質な物に思えてしまうくらいだった。
「あら、拍子抜けしたわ」
「ねぇ~、初姉上様、私も思った。バードリちゃんならマコに負けない面白い装飾してくれると思っていたのに」
と、バードリ・エルジェーベト王女を知る、お初とお江は何かを期待していたようで落胆のため息を吐き、茶々は、
「ん?その王女様は真琴様みたいな趣味でも持っていなさるのですか?」
と、首をひねっていた。
「まぁ~オルショリャの母親だから結構、強烈な人だよ」
と、言うと、
「真琴様より強烈なお趣味を持っている人がいるなら、お会いしとう御座います」
と、笑っていた。
その言葉を耳に入った加藤孫六嘉明は頭を抱えて、
「拙者は、こんな城を作りたくなかったのに~」
と、一度叫ぶと、我に返ったのか頭を下げていた。
「ん?いたって普通・・・・・・」
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