第710話 黒坂真琴のお料理バンザイ!

 俺は人を料理でもてなす事で、この時代の人達に気に入られた。


織田信長に気に入られ、茶々達と言う美しい嫁達、そして、有能な家臣達。


未来の料理、それは人を魅了する。


前田松様も、その一人。


忙しいはずなのに、うちに手伝いに来てくれる。


その見返りは料理。


新しい新作料理を考えてスイーツを思い浮かんだ。


佳代ちゃんが言うには『タピオカ』なる物が平成の終わりに流行るらしいが、知らない。


なんでも三回目のブームらしく俺が子供の頃にも少々流行ったらしいが、『ナタデココ』にハマっていたからわからない。


『ナタデココ』、その前に流行った食べ物で日本に定着したスイーツを思い出した。


しかも、材料は今なら手に入る。


ココアパウダー、コーヒー、チーズ、砂糖、メレンゲ、パン、洋酒、今回は香りの高いラム酒をアルコールを飛ばして使う。


妊婦にも食べられるようにするために。


うちの御台所頭の桜子に指示をだす。


柔らかな出来立てのチーズを使い砂糖とメレンゲで甘いクリームチーズを作って貰う。


それをコーヒーとアルコールの飛ばしたラム酒に浸したパンを器の底に敷く。


そこに甘いクリームチーズを盛る、そしてまた、薄いラム酒を浸したパン、クリームチーズと繰り返す。


「ご主人様、これで良いのですか?なんか、地味です」


「はははははっ、そうだね白黒なお菓子だから地味かな。でも、美味しいんだよ」


と、甘いクリームチーズを味見しながら言うと、器は上まで敷きつめられた。


そこにココアパウダーを振りかける。


「あとは、これを地下の冷蔵倉で半日ほど馴染ませよう」


うちの城の地下には冷蔵庫的な寒い食料庫が有るのでそこで冷やす。


冷やして馴染ませれば完成だ。


スイーツの知識は多くはないが、このお菓子は材料さえ揃えば、重ねる事で作ることが出来る。半日馴染ませた物を味見する。


「お!なかなかどうして、ティラミスになってるじゃん」


我流ティラミスの完成。

平成時代で流行ったスイーツで定番となった数少ないスイーツ。

大好きだったので、ティラミスは何度か作った事がある。


「うわ~マコ~人が、私が学校で仕事している間に美味しそうなの作って食べてる~」


と、いつまでたっても食いしん坊のお江に見つかると、桜子が、


「お江様、ちゃんとありますよ」


と、お江にスプーンと一緒に小さなカップに入ったティラミスを渡した。


「うわ~真っ黒、なにこれ~」


と、言いながら口に運ぶ。


「美味しい!流石にマコの料理だ。甘さだけじゃなく、この苦味が美味しい」


「ティラミスって言うんだよ」


「これなら松っちゃんも喜ぶよ」


と、お江の御墨付き。


松様に運んで行くと、一口食べて


「やはり、常陸様のとこに来て良かったわ~」


と、ほっぺたを押さえながら喜んでくれた。


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