第638話 サルデ-ニャ島カリャリ攻略戦・その2
「よし、サッサリを占拠したか、ならこちらも上陸戦に切り替える、艦隊指揮権を前田慶次殿に任せ我ら柳生は上陸する」
「はっ、すぐに手旗で戦艦・摩利支天に合図いたします」
海中に潜む敵戦艦に気を付けながら上陸作戦に切り換えるには、海を任せなくてはならない。
それに前田慶次隊を上陸作戦に加えたくないのはもう一つ理由がある。
それは、経津之介信海様の存在。
この上陸作戦は逃げ場を失った敵兵の殲滅戦。
最後のやぶれかぶれになった敵兵が命を投げ出し突撃して来るのが目に見えている。
それをこちらは、有無を言わさず射殺しる。
そのような壮絶な地獄のような現場を初陣で見せるのは良くない。
上様も関東の乱の久慈川の合戦では、御大将を船に残して壮絶きわまりない戦場には参加させなかった。
それと一緒だ。
おそらく、前田慶次殿もそれに気が付くはず。
「上陸戦準備整いました」
「よし、艦砲射撃の援護を受けながら上陸しる。味方の弾に当たらぬよう気を付けながら、さらには、命を捨てる覚悟で突っ込んで来るであろう敵兵を殲滅する。上陸次第陣形を整え射撃前進」
俺は自ら陣頭指揮に立つため、兵士たちと爆発で焼けている町に上陸を決行した。
敵兵は案の定、鬼の形相でありながら何かを悟った目で一心不乱にサーベルを持ち突っ込んでくる。
それをこちらはリボルバー式歩兵銃で次々に撃つ。
撃ちながら前進を続け、小高い丘に陣を構え船からアームストロング砲をおろして、近付く敵兵に向け撃つ。
日が暮れる頃には、近付く敵兵はおらず、煙の向こうに夕日が沈もうとしていた。
「夜襲に備えて警戒を怠るな。飯は船で作らせ運び込め」
握り飯を作らせ運び込み、交代で飯を食べさせる。
その隙間をぬって三人の敵兵が俺を目掛けて走ってくる。
サーベルを持つ手を掴み、一人を投げ飛ばす。
「無刀取りの技を持つ俺に剣は通じんよ」
二人目が火縄銃を構えるが、狙いを定める前に抜刀術で火縄銃事一緒に真っ二つに斬ると、三人目は発狂して逃げようとした。
そこをうちの配下がリボルバー式歩兵銃で撃ち抜いた。
「殿、お怪我は?」
「ない、このように隙を狙ってくる。見張りを増やせ、明朝には残存兵を片付ける」
船を出しその事を真田幸村に連絡する。
次の日、丘の上になびく日本国旗と柳生家の二階笠の家紋の旗が朝日に照らし出されていた。
カリャリ港城塞占領の印となった。
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