第607話 血抜き殺人事件

 1608年夏



常陸鹿島港から織田信長に献上する蒸気機関スクリュー式推進装置付機帆船型鉄甲双胴型戦艦・KING・of・ZIPANG Ⅴ号と俺の艦隊配備の蒸気機関スクリュー式推進装置付機帆船型鉄甲双胴型戦艦・伊弉冉尊(いざなみ)が届きジブラルタルの港が一目見たさに見物客で賑わっている夏に事件は発生した。


学校運営とスパテルマエリゾート・イバラッキーの運営がそこそこの形になり出し、ジブラルタルがさらに発展した夏。


学校生徒は側室候補として送られてきた者だけでなく孤児院の役割に移行しだしている最中に事件は突如として起き始めた。


ジブラルタルの路地裏で血が抜かれた学校の生徒が見つかった。


しかも殺人事件は連続して一週間に1人ずつ、それが三週続いて3人目の被害者・・・・・・。


3人目にして流石に柳生宗矩とお初が報告してきた。


「生徒が夜中寮を抜け出した後、翌週には殺され無残な姿で見つかりました」


朝食のトマトを丸かじりしていて俺は思わず、トマトを握りつぶしてしまった。


「殺人事件?しかもうちの生徒?血抜き遺体?」


と、宗矩に聞き返すと


「はい、複数の槍のような物で刺されたようで・・・・・・私の見立てでは生きている所をじわりじわりと何かの器具で血抜きをしたような・・・・・・無残です」


「アイアンメイデン・・・・・・」


「真琴様なにか知っているの?」


と、お初が聞いてきたので前もってアセナから聞いたときに書いておいた拷問器具・鉄の処女・アイアンメイデンの絵を出し見せると、二人は顔を真っ青にしていた。


「このような拷問器具がこのヨーロッパではあると聞く、むごい」


「御大将、まさにこのような物が使われたのでしょう。なぜにそのようなことを・・・・・・」


「さぁ、もともとは魔女であるかないかを調べる為とか、自白させるためとか、処刑するためとか言われているアイアンメイデンだけど俺も現物までは見たことはないからな」


「このような殺し許しません」


と、お初が拳を強く握りしめ自らの爪で掌に刺さってしまったのか血を床に垂らしていた。


「ああ、許さん。すぐに犯人を捜し出してくれ。地獄の業火の刑に処してくれる」


「この拷問器具の使用者?発案者?で有名な人は知らないのですか?真琴様」


「知っている。知っているがその名を口にすればその者を犯人として決めつけた目で捜査をすることになるであろう?だから、言わぬ」


「真琴様!」


大声で怒りを出してしまったお初だが、


「御大将の言う事はごもっとも。決めつけで犯人捜しをすれば御大将が嫌っている魔女裁判と同じになりますから。配下に申しつけて犯人を捕まえます」


と、宗矩は部屋を出て行くと、お初も


「生徒達に外出禁止令を出します」


と、部屋を出て行った。


「佐助、聞いていたな」


と、天井に声をかけるとすっと降りてくる猿飛佐助。


「はっ、誰かを監視するのですね?」


「あぁ、あの二人にはああ言ったがな、ただし、確実な証拠を掴むまでは動くなよ」


「はっ、で、誰を?」


「羽柴秀吉の側室にして、学校の教師であるバートリ・エルジェーベトだ」


「すぐに」


と、言って消えていく。


ただ、血の伯爵夫人・・・・・・あの噂は・・・・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る