第537話 出航
1605年夏
俺は再び大海原へと船出をした。
目指すはオーストラリアの城、ケアンズ城だ。
海外領地の巡察も兼ねている。
高速輸送連絡船でケアンズを任せてある前田慶次からは問題ないという連絡は入っては来ているが、自分自身の目で確かめておかなければ気が済まない。
今回も同行側室は、お初・お江・桜子・小滝・ラララといつものメンバーだ。
そして、今回は左甚五郎とその大工衆も乗船させている。
なぜに毎回側室を連れて行くかと言えば、お初は護衛を担当し、お江は・・・・・・?例外的?桜子は俺の飯を作ってくれる。
桜子が作る事で毒殺の心配はなく、毒味が必要ないため温かな物が食べられる。
小滝は漢方の知識を生かして俺の健康管理をしてくれ、ラララは通訳をしてくれている。
側室が側近として役目をしているのは、情報漏洩の心配も極めて少なくじゅうようであり便利なのだ。
船を島々に寄りながら南下を続ける、島々の港は貿易拠点として繁栄を見せている。
港の支配を抵抗していた原住民も、物資が流れ豊かになると協力的になった。
太平洋航路は完成しつつある。
台風など嵐に遭っても、すぐに近くの島へ避難できる。
それは重要なことだ。
命のリスクを減らせるのだから。
蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲船戦艦・武甕槌は一ヶ月もするとパプアニューギニアに寄り、補給をするとオーストラリア大陸を目指した。
だんだんと寒くなる。
そう、南半球は冬だからだ。
「マコ、日本が夏の時にはこっちは冬なのに何でこの時期にしたの?」
「あっ、いや、オーストラリアは巡察だけだからな、季節は気にしていられない。それに、今からなら目的地に行く頃には夏になるはずだからな。う~寒い」
と、震えていると、桜子と小滝が作ってくれた生薬を溶かした甘酒を出してくれた。
「これを飲んで体を温めてください」
「ああ、すまない」
と、飲む。
甘酒はこの時代の栄養ドリンク、そこに体を温める作用のある漢方が入っていたが甘酒の甘さでごまかされて美味しかった。
オーストラリアはもうすぐだ。
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