第69話 仮祝言
1583年12月1日
茶々との仮祝言となった。
いつまでも茶々の婚約相手、許嫁では不都合があるらしい。
茶々14歳、この時代となれば婚礼の申し入れがあるのは普通の事。
それが時の権力者、左大臣織田信長なら当然。
対外的には参議である俺と婚約が発表されていても申し入れはあるみたいで、
「仮祝言を挙げよ」
と、織田信長が言ってきた。
俺としては婚約をした段階で結婚は覚悟しているため日にちは任せると、年内にと言うことで今日になった。
仮祝言の為と、今は中国の毛利、四国の長宗我部に出兵しているため大々的ではなかった物の、織田信長の姪、養女として恥ずかしいものではない婚礼行列が安土城天本丸から俺の屋敷までつながる。
そりゃ~ね~城内だもん。
俺は今日は衣冠束帯という正装が用意されていたので、それに着替えた。
衣冠束帯。神社の神主さんをイメージしてもらうと良いだろうか。
珍しくちゃんとした和装だ。
茶々は白無垢、角隠しで顔が隠されていた。
俺の一番広い部屋で「固めの儀」として、三々九度を行った。
・・・・・・酒うめ~・・・・・・。
微量の酒、清めの酒、固めの盃だから許してね。
普通なら新郎側の一門衆で宴会となるのだけど俺には一門衆はいない。
しかも若輩ばかりの家臣。
宴会ではなく食事会となり形ばかりの仮祝言となった。
通常は新婦側の列席は見届け人なり、輿入れに一緒に付き従った家臣が数名列席するらしいが、お初とお江、お隣の前田利家の妻、松様も参加していた。
お初はなぜか涙し、お江は茶々の花嫁衣装に目をギラギラさせて喜んでいた。
茶々が16歳になるまでは正式な結婚でないのは織田信長は了承済み。
大津城完成時に正式な婚儀を開けばよい、と、なんとも理解がある。
って、織田信長、義父になるんだね。
親父様って呼ぶべきなのだろうか。
茶々は通い妻となった。
ん~今までの生活とさして変わらない気がする。
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