第65話 大津城築城視察・建築革命?
「完成までの工期はどのくらいなの?」
と、俺は御殿建設の脇に作られた陣幕で囲われた場所で床机(しょうぎ)に腰を下ろした。
床机(しょうぎ)とは、平成では神社のお払いの時などに見たこともあるかもしれないが、折り畳みの椅子。
平成風に言えば、キャンプに使う椅子かな?ゆるいキャンプは予定はないよ。
素材そのままの机が置かれて、床机が脇に適当な数並べてある。
この場合、俺はどこに座るべきなの?
俺って基本的には出口側が好きなんだよ。
だから平成の世でもカラオケボックスでもできる限りドア側。
部活の後輩が恐縮していたこともあったっけなぁ。
と、少しキョロキョロしていると、力丸はそれに気が付いたみたいで手のひらを座るべき場所に向けていた。
あぁ、やっぱり出口から一番遠い場所なのね。
身分制度上仕方がないのでそこに腰を下ろした。
机の正面?奥に座ると、左側に茶々、力丸、の順で座り、右の力丸の正面に氏郷が座った。
宗矩は俺のすぐ後ろで俺の一言一句洩らさぬよう一生懸命書き留めていた。
「本丸御殿はおおよそ一年、全体では4年を計画しておりますが」
と、氏郷が言う。
ん~工事している中、住むのか?やかましいような・・・・・・。
「パネル工法出来ないかな?」
「はい?ぱねる?」
聞きなれない言葉に首を傾げる氏郷。
今日、何回首を傾げているのかな?
「んとね、小さな木々の切れ端ないかな?」
と、言うと地面に片膝を着き待機していた氏郷の家臣が走っていき、本当に切れ端なの?という感じの良質そうな木々を集めてきた。
丁度、箸くらいの太さの木々があったので、腰に挿している小太刀で長さをそろえて机の上で四角にしてみた。
もちろんバッテンの対角線の柱付きのを。
「まぁ~持てる重さに限りがあるから大きさは任せるけど、柱を組んで板を貼った壁を作るの、これがパネル一枚ね、で、ここで組み合わせていく、統一の大きさを指示すれば冬とか働き口ない農民とかが作れないかな?もちろん給金は出してだよ」
と、説明して見せた。
「お~~~~」
と、氏郷は驚いていた。
「これをつなげていけば長屋も作れると思うしどうかな?」
「常陸様、あ、いや、御大将、素晴らしいすぐにやらせましょう、なに、年の取った現場仕事をできなくなった大工を頭にしてやらせれば出来なくないと思います」
なるほど、年寄りの活用にもなるのか、提案して良かったかも。
「常陸様、これに銅板など貼ったら戦時の陣にも良きかと思います」
と、力丸が言った。
「宗矩、書き留められた?」
「はい、大丈夫です、絵図も脇に書きました」
と、説明に使った木々を書いていた。
もしかして、建築革命したかな?
織田信長喜んじゃうかな?っと茶々の顔を見ると、
「伯父上様なら高く評価していただけると思いますよ」
読心術でも持っているのかな?隠し事出来なさそう。
「マコ~つまんない帰ろ~」
と、言いながら、陣幕を持ち上げて、お江が顔を覗かせていた。
幸村、ごめん、子守り任せちゃって。
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