第26話 好きな武将
俺は織田信長に呼び出される。
呼び出されると大概は茶室か安土城の天主の最上階で話をした。
二人っきり。
襖の外は森三兄弟が控えている。
そう、俺が未来から来たのは秘密だった。
今日は天主の最上階に呼ばれた。
眺めが良い、西を見れば琵琶湖、東を見れば安土の賑わった町が眺められる。
「常陸の好きな武将は誰だ、世辞はいらぬ正直に答えよ」
と、琵琶湖を眺めながら織田信長は言った。
「率直に言いますよ、
一位、伊達藤次郎政宗
二位、伊達藤五郎成実
三位、片倉小十郎景綱
四位、織田信長
五位、前田又左衛門利家
六位、山内猪右衛門一豊
七位、上杉謙信
八位、武田信玄、
九位、山本勘助
十位、真田幸村です」
「バカか?」
また言われてしまった。大河ドラマで好きになった、いや、好きな俳優がやっていた武将の名前を出しただけなのにバカって?
「死人を列挙してどうする?常陸の家臣にする者を集めようとしているのに、一位二位三位など知らぬ名だぞ」
「家臣ですか?一位の伊達藤次郎政宗、二位の伊達藤五郎成実、三位の片倉小十郎景綱は奥州の伊達家の者です」
「そうだ、常陸の与力だ」
「だったら、柳生石舟斎の息子の柳生宗矩と、真田唱幸の息子の真田幸村に、前田利家の義理の甥、前田慶次を頼めますか?会ってみたい」
「柳生も真田も前田も家臣だ、容易い。良いのか、その伊達藤次郎なにがしは?」
「え?会えます?」
「伊達の縁者なのだろう?伊達輝宗なら恭順するとの使者が来ておる、安土に登城を命じることもできるぞ」
「ぜひ会いたい、出来るならお願いします」
「蘭丸手配いたせ」
と、少し大きな声で襖の外にいた蘭丸に織田信長は命じた。
「常陸は伊達の縁者か?」
「いえ、うちは確か桓武平氏の流れのはずだったので藤原氏の伊達とは関係はないですよ、ただ、ドラマっていう物語を見て好きになっただけですから」
「まあ良い、利家も好きなんだな、近々合わせてやる」
そう言い残して天主から出ていく織田信長。
傾奇者と伊達者両方に会えちゃうの?うれしいなと少しわくわくした。
自分が出した名が武将が後々火種になることを知らなかった。
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