優しい看護婦さんの話

入院中に看護婦さんがやってくれたことといえば。


前述のとおり、病院でまともに食事が摂れる状況じゃなかったので、

抗がん剤もですが、生食の点滴をずっとやってたんですけど、

それが、一回抜けちゃってたことがあるんです。

腕に指す針の部分じゃなくて、

チューブの途中の接続部分が外れて、

ベッドが生理食塩水まみれ。

なんかシーツ湿ってるなぁと思ったら。

チューブが長いので、寝返り打った時とかに、

背中の下に紛れちゃって、なんかの拍子に外れちゃったんですね。

針の部分はちゃんと腕に刺さってるので、

接続部分から、新しい生食を入れればいいんです。

ですが。

一定時間外されていたので、チューブの中は乾きに乾きまくってます。

私の腕に刺さってた方です。

そこから、ググっと入れられるんですが、

それがまあすんげぇ痛い。

だって乾いて要はカサブタみたいになってるところから、

無理やり水入れられちゃうんでしょ、そら痛い。

でも、堪えます。痛いっつったってしゃーないんだから。

女は我慢。痛みには強いんです、もともと。

アカイシさんが痛がるってよっぽどなんですね、って言われたこともあります。

でも、それされてる時は、もうその研修医的な男の顔をブン殴ってやりたいくらいの衝動に駆られてました。

それが終わったあとに、

あまりに痛いし、なんで私がこんな目に、って気分になってたら、

大丈夫ですか?って看護婦さんが声をかけてくれて、

弱気になっていた私は、看護婦さんに弱音を吐いてしまいました。

黙って、頷きながら聞いてくれる看護婦さん。

途中、先輩の看護婦さんが、その人を呼びに来るも、

その看護婦さんは、いいんですよ、そんなのって。

いやいや、良くないでしょ。

看護婦さんだって忙しいだろうに。



でもね、嬉しかったです。

ナイチンゲールの心ってそういうことです、きっと。


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