『エイリアン2』

『エイリアン2』(映画/監督:ジェームズ・キャメロン/1986)


 前作『エイリアン』から六十年後。唯一の生存者・リプリーは、ハイパースリープにより宇宙を漂流していた(だから六十年前から年を取っていない)。回収され、目覚めた彼女に突きつけられたのは、衝撃の事実。

 なんと、自分たちが怪物に遭遇した星がテラフォーミングの真っ最中であり、たくさんの家族が移住して探検にあたっているというのだ。

 それから間もなく、その星との通信が途絶する。この事態に、自業自得だと逃げ腰だったリプリーだが、宇宙航海士に戻るため、そして恐怖に打ち勝つべくその元凶と対峙するため、宇宙海兵隊のオブザーバーとして、その星に同行する。


 そこでリプリーが出会う少女・ニュート。リプリーは、唯一の生存者であった彼女を救出し、無事脱出することはできるのか?


 いやー、最高にスリリングで見応えのある、SFパニックアクション映画の金字塔である。特徴的なのは、一つの事件が発生した際、雪だるま式に被害が大きくなっていくというプロセスの見せ方の巧みさだ。

 爆発⇒爆風⇒死傷者発生⇒その死傷者の保持していた手榴弾が引火爆発⇒パニック状態、みたいな。

 さらに、普通のアクションとしても実に手に汗握る。自分や相手にどんな攻撃方法があり、距離はどのくらいで、そもそも目的は何なのか(まあ、殺し合いになるのだけれど)。

 それが非常に見やすく、『誰が・どこで・何をしているのか』の描き込みはずば抜けて巧い。さすが、『ターミネーター』のジェームズ・キャメロンである。

 中盤は『わざと』その要素を分かりづらくして、スリルを盛り上げたりもするのだけれど。


 1カット1カットに妥協がなく、しかしエンタメ性満載で、ドラマも脂がのっている。これを見過ごしておいて『俺は八十年代SFに詳しいぜ!』という方、いらっしゃったら挙手を願いたい。喧嘩をしよう(コラ


 もしグロ・スリルに抵抗がなければ、是非皆様にお薦めしたい、素晴らしき一作である。

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