『ジョーカー』

『ジョーカー』(映画/監督:トッド・フィリップス/2019)


 これは大・大・大衝撃作!! こんな映画を待ってたんだよ、俺はッ!!

 という雄叫びは脇に置きまして。


 自らの出生・病・現状・そして社会による扱いに不満を覚えていた主人公・アーサーが、どんどん狂って暴力的になっていく話。しかし、それは彼の狂気なのか? それとも、狂っているのは社会の方なのか? これ以上は語りようがない。


 この映画の傑作たるゆえんは、『暴力や狂気に至るプロセス』を丁寧に描写したことにある(敢えて具体例は挙げないが)。

 淡々とはせず、しかし過剰にならない範囲内で、アーサーを捉え続ける映像、音楽、物語。彼が破綻をきたし、インフレーションが高まったところで、凄惨な『暴力』が発生し、周囲(=社会)へ『感染』していく。


『ダークナイト』で描かれたジョーカーが完成形で、しかしそれとはまた違った『狂気』で染まっていく、つまり過程を見せるのが今作のジョーカー。そんな見方もできるかと思われる。


 実にパワフルでスリリング、そしておぞましい怪作ともいえるだろう。

 心臓に自信のある方は、是非劇場へ。


※R15指定作品です……。

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