『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』

『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(映画/監督:富野由悠季/1981)


 宇宙へ戻ったアムロたちと、それを追うシャア。白熱する地球連邦軍とジオン公国軍の戦闘の最中、二人はついに『生身で』出会うことになる。

 その中で、アムロはシャアのみならず、とある不思議な(としか言えない)少女と出会う。彼女の名はララァ・スン。彼女はシャアの部下であり、親密な仲であったが、戦闘の最中、アムロの優しさに惹かれ、精神世界(?)で意志の疎通を果たす。

 が、その直後、シャアを庇って、ララァは命を落としてしまう。

 この悲しみを乗り越え、あるいは取りつかれたままで、最後の戦いに臨むアムロとシャア。二人の決着の行方は? そして戦争の結末は?


 不思議でありながら凄まじい重量感を帯びた一本。これが四十年前の作品だというのだからとんでもないものである。

 簡単に言えば、三角関係と言えなくもない。しかし、その裏には、『出会い』『別れ』『人類の進化』といった要素が散りばめられ、戦闘もドラマも大迫力。だが、戦闘が見事なのは最初からなので、今はドラマとテーマに着目したい。


 それこそ『人類の進化』である。早い話、『2001年宇宙の旅』を分かりやすく、独自解釈も含めて再展開したような……って『早い話』にはならないなあ(汗

 人の秘めた可能性を『ニュータイプ』という言葉で象徴し(未だにファンの間では解釈が異なる)、それを『戦争』という殺し合いの中で描き切ったのは、やっぱり凄い。


 アムロとシャアは、その点相容れず、戦い(お互いのモビルスーツは壊れてしまったのでフェンシング)を行うのだが、決着は着かず、『可能性を信じ、戦争を忌避するアムロ』と『可能性開花のためには、今は戦争も止む無し』とするシャアの二人は、七年後の再会@『機動戦士Ζガンダム』まで、いや、もしかしたら永遠に解り合うことはできずに別れる。


 ううむ、『魔法少女まどか☆マギカ』の解説より手こずるとはorz

 刮目せよ! としか言いようがないかなあ。はい。

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