『機動戦士ガンダム』

『機動戦士ガンダム』(映画/監督:富野由悠季/1981)


 TV版じゃなくて、劇場版三部作の第一作。総集編でありながら、バッチリ無駄なく、よりスタイリッシュに仕上がっていて、個人的にはこっち=劇場版の方が好み。


 人口が増えすぎて『宇宙に追いやられた人々』と、『地球で安穏としている人々』の戦いを描いた、超伝説級のロボットアニメである。

 

『そんなもん、地球連邦軍が勝つに決まってんじゃん! 鉱山資源とか機械資材とか、地球の方が豊富なんだから!』――その通り。

 それを覆したのが、宇宙民の中でも過激派だった『ジオン公国』が開発した『モビルスーツ』と呼ばれる人型兵器だった。

 ジオン軍の勢いはすさまじく、地球侵略まで行っていたのだが、開戦から八ヶ月後、二つのキーワードと共に、戦況は大きく変わることになる。


『アムロ・レイ』そして『ガンダム』。


 宇宙民の一員でありながらも、ジオン軍に居住コロニーを急襲されたアムロは、偶然から連邦軍のモビルスーツ・ガンダムに搭乗、襲ってきた敵のモビルスーツを撃破する。

 それを眺めていたのが、誰あろうアムロ・レイ永遠のライバル、シャア・アズナブル。

 宇宙で、地球でと転戦する中、アムロはその戦闘における才能を開花させていく。そしてそれは、宇宙に適応した新人類登場の兆しでもあった。


 いやー、落ち着くね。観てるとほっとする。

 いわゆる『1stガンダム』と呼ばれる本作だが、他のガンダムと最も異なるのは、『人の死に方』だと思う。

 数合わせや盛り上げのためではなく、純粋に真っ向から『人の死』を描いている。反戦だなんだと騒ぎ立てるわけではないが、そこには紛れもないドラマがある。


 戦争の現実をきちんと描きつつ、冒険的要素に溢れたストーリー展開、魅力的なモビルスーツたち、そして多くの人々の、互いにぶつかり合う信念・正義・生き様。これは本当に凄い。


 もしロボットアニメに興味がおありで、しかし『何から観ればいいか分からない!』という方は、この『機動戦士ガンダム』劇場版第一作をご覧になることをお薦めする。


 ジブリに負けず劣らずのメッセージ性、洋画SFのダイナミクスを是非、多くの方に感じていただきたい。

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