大きな素数をもとめて
えのき
第1話 素数指数表現
暗い闇の中。私ことルーチンは思い悩んでいた。
なぜだ・・・。なぜかけ算はこんなにも難しいのだ。
和の王とまで呼ばれた私が、こんなにもかけ算に苦しめられるとは?
10年にわたる苦悩のすえ、ついにルーチンは掛け算をしないかけ算を思いついたのであった。
たとえば、84×100はいかにも難しい。
84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84+84と書いてくれればまだわかりやすいものの、いかに和の王と呼ばれた私でもこの計算には少し時間がかかる。だが、まず素因数分解をしよう。
84=2^2×3×7
100=2^2×5^2
そして、積の値は8400である。和の王たる私が時間をかけて計算した自慢の値だ。
これを素因数分解しよう。
8400=2^4×3×5^2×7
よく確認すると、次の法則が見て取れる。
(2^2×3×7)×(2^2×5^2)=2^(2+2)×3×5^2×7
指数の和だけでかけ算ができているではないか!
では、2^2×3×7と書くのは面倒なので、次のように書こう。
(2,1,0,1)
これは、
2^2
3^1
5^0
7^1
を全てかけたもの、という意味だ。ああ、素因数分解さえできればもうかけ算はしなくて済むのだ!なら自然数の表を作ろう。この表が完成すれば、もうかけ算に悩まされることはない。
1=()
2=(1)
3=(0,1)
4=(2)
5=(0,0,1)
6=(1,1)
7=(0,0,0,1)
8=(3)
9=(0,2)
10=(1,0,1)
11=(0,0,0,0,1)
12=(2,1)
13=(0,0,0,0,0,1)
14=(1,0,0,1)
15=(0,1,1)
16=(4)
17=(0,0,0,0,0,0,1)
18=(1,2)
19=(0,0,0,0,0,0,0,1)
20=(2,0,1)
21=(0,1,0,1)
22=(1,0,0,0,1)
23=(0,0,0,0,0,0,0,0,1)
24=(3,1)
25=(0,0,2)
26=(1,0,0,0,0,1)
27=(0,3)
28=(2,0,0,1)
29=(0,0,0,0,0,0,0,0,0,1)
30=(1,1,1)
31=(0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,1)
32=(5)
33=(0,1,0,0,1)
34=(1,0,0,0,0,0,1)
35=(0,0,1,1)
36=(2,2)
...
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