第3話💓僕の願い

僕達は一緒に住んでるわけじゃない。


最寄り駅が同じだったから

出会えたんだけど

家の場所は結構離れているから

待ち合わせは僕の職場である

駅ナカの本屋が多い。


会う場所はどっちかの家。


お互いに一人暮らしだけど

関係を両親に話せていないのが

一緒に暮らせない理由だ。


*:.*.:*:。∞。:*:.*.:*:。∞。:*:.*.:* 


『いらっしゃい』


今日は僕の家。


『お邪魔します』


その台詞が寂しい……


『どうぞ』


本当は“お帰り”と“ただいま”

って言いたいし言われたい。


同じ場所に帰ることが

できたらどんなに

幸福しあわせだろうね……


春弥はるみ?』


いけない、ボーっとしていたみたいだ。


『ごめんごめん、

今、飲み物とおやつを

持ってくるから

座って待ってておくれ』


追求される前にキッチンに逃げた。


飲み物とおやつを持って

リビングに戻ると風夜は本を読んでいた。


僕の書棚から持ってきたらしい(๐•ω•๐)


動いた気配がしなかったなぁ(笑)


『飲み物とおやつ、持ってきたよ』


悟られないように笑顔で言った。


『ありがとうございます。


勝手に書棚から借りました』


一々、報告しなくていいのに(笑)


『好きな時に好きな本を読んでいいからね』


文系の僕が買う本はジャンルがバラバラだ。


ミステリーだったり恋愛物だったり、

しまいにはBLなんかもある。


『では、今度からは

ご報告せずに

読ませていただきますね(๑^ ^๑)』


風夜の気に入るものがあるなら

好きな時に好きな本を

読んでくれて構わない。


『うん』


本を閉じてソファーの上に置くと

降りて来て、隣に座った。


『いただきますね』


紅茶と市販のクッキーを食べ始めた

風夜の横顔を眺めていた。


*:.*.:*:。∞。:*:.*.:*:。∞。:*:.*.:* 


夕飯後、風夜が帰る時間になった。


寂しいなぁ。


そう思ったけど、表情かおには

出さないようにつとめた。


『またね』


風夜のしている研究が佳境に

入るらしいから

向こう二ヶ月くらいは会えない。


『当分会えませんが電話やメールをしますね』


僕は無言で頷いた。


風夜はキスをしてから帰って行った。

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