第5章「唐突」
「ご報告があります!!至急ご報告したい事が!!」
コーデシア帝国の帝都にて、シンボルの様にそびえ立つ巨塔。
その最上階で慌ただしく声を荒げる1人の男の姿があった。
「どうしたのだルーベンよ。お前らしくもない」
呼吸を整えながらもルーベンは必死に声を絞り出す。
「それが元帥閣下!オベロン王国にて突如として内戦が勃発!!国を二分する戦いが始まりました!!!!」
「なんだと?!」
ルーベンの言葉に、コーデシア帝国の最高責任者でもある元帥は驚愕の表情を見せた。
「どうしてだ!!あの腰抜けなオスカー王にそんな度胸があったというのか…」
「入ってきた情報によりますとオスカー王は反王家の有力貴族を一斉に処断。残された貴族の勢力と全面的な戦いを始めた模様です」
元帥は再び思考の渦に囚われる。
「何故このタイミングで?…先の戦争では王国軍とて魔王の被害を受けたはず…。ルーベン!国境沿いにて消滅した王国軍の主力はどこ貴族の軍であったか覚えているか?」
「はっ!曖昧な記憶ですが…確かモルガン公の軍が主力を占めていた気が致します」
「モルガン公…反王家の筆頭貴族か。戦力を大きく失ったタイミングで、、、たまたまか?いや、そんなはずは無い。しかしその様な狡猾な手法をあのオスカー王が思いつくだろうか?誰か知略に長けた後ろ盾がいるはず…」
そこまで呟いた元帥の頭の中には、昔王国貴族との懇親会の場で会ったことのある、1人の男の顔が浮かぶ…
「あのタキシードの男…確か名前は…」
時をほぼ同じくして、セオス教国最高意思決定機関である円卓会議においても、同様の知らせが舞い込んで来たところであった。
「よし、"器"についての話はこれくらいで良かろう。それでいいな?"使徒"よ」
「はい。では私はこれで…」
「待てよ!まだ俺は何も…!!」
先の議題が終わり、天使はライナスを連れて退出する。
「さて、次の議題についてじゃが…」
進行役の大神官がそう言いかけたところで…
「失礼します!!神セオスに仕えし"神兵"より緊急の連絡が入りました!!」
「緊急の?…ちょうどいい、皆にも話せ!」
「はっ!!つい先日、オベロン王国王都にて国王オスカー・ネル・オベロンが敵対貴族に対して軍事行動を展開。オベロン王国が内戦に突入した模様です」
伝令の僧兵の言葉は先の議題で未だに興奮冷めやらぬ議会を更に盛り上がらせる事となった。
「なんじゃと?!?!」
「それは本当か!!!」
「はい!オベロン王国に展開している"使徒"直轄の部隊からの情報になりますので、間違いないかと…」
議会は一気に紛糾する。
「これはえらいことになったのぉ」
「王国はそんな事をしていて大丈夫なのか??帝国に併呑される恐れは…」
「帝国?…当面帝国には派手な軍事行動をする様な余裕などないじゃろ!ほら、例の…」
「ああ、あの人外供の王か。そうすると、帝国と魔王が争ってる隙を突いての行動なのかの??」
「でも、なんの取り柄もないあの王がそんな大それた事をするかの?」
議論が加速していく中、創世官はそれまで閉ざしていた口を開く。
「議論が逸れているようだ。大事なのは我が国…神セオスにどんな影響があるかだ」
「そうじゃな…大山脈もあるし、直接的な影響は無いじゃろう」
「あるとすれば…復活の儀式になんらかの影響が…」
「これはチャンスですよ皆さん!!」
発言を制して、教国の使徒である天使がどこからともなく突然現れた。
「お前…話は聞いていたのか?」
創世官の問いに対して天使は
「もちろんです!そして、この動乱は神セオスの与えしチャンスなのですよ!」
普段の穏やかな様子から一変、どことなく興奮しているのが伝わる天使は続ける。
「この機会に我々は整えるのです!生贄を集め!聖地を奪還し、神の復活する環境を!!!!」
天使の宣言によって、円卓会議には新たな議題が生まれたのだった。
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