涙の日


 どうしようもなく泣きたい、そんな日もある。情緒不安定。



 元々僕は泣き虫だ。


 でも「いつまで泣いてんの、みっともない」だかなんだか忘れたけど、誰かに怒られてからは意地でも人前で泣かないようにしてた。そんな小・中学生。我ながら子供らしくない子供だったなぁと思う。本当に。


 そんな中学の時。大っ嫌いと思うくらい当時憎かった顧問に、「もう少し素直になってもいいんだよ」そう言われてから堰を切ったようにまた涙が溢れるようになった。それからその顧問は恩師になった。

 あともう一人。同じ部活だったやつにも一人バレている。「あんまりネガティブに考えるな」ってコンクールの楽譜に書かれてたっけ。毎年、コンクールの前日にお互いの楽譜にコメントというか応援メッセージを書くのがお決まりなんだけど、そこに書かれてたこの一言。刺さったよね。ちなみに初恋の人。勿論僕の思いなんか伝えてないよ、こんなクズに捕まってないで幸せになってほしいから。ちゃんと幸せになってくれ。


 そんな二人から最後に貰った手紙、病む度に見返してる。ありがとう。大好き(尊敬してるよの意味で)。






 そう、だから高校に入ってからだいぶ素直になったと思う。だからこそ、余計に泣くことが増えたと思う。勿論人前ではほとんど泣かないけどね。強がりたいし?(笑)








 劣等感も物凄く強い。弟と比べられて死にたくなる。いっそ死んでしまおうかと何度考えたか。その度に怖くなって何も出来ないでいるけど。祖父母の死を目の当たりにしてるからこそ、軽い気持ちでだなんて言えないし、言おうとも思わない。でも死にたいと思うのは余程の事だからか?











 今日も、そんな。僕は今一人家に籠っている。弟が練習試合なんだってさ。私の演奏会なんて来てくれなかった癖にね。お母さんは来てくれたけどさ。このクソ親父。




 どんなにお腹痛いってったって、どんなに辛いってったって、弟の方を優先するのは、二人共妹・弟…いわゆる下の子だから?高校受験の合格発表の日、インフルエンザにかかって行けなくなった。前日の弟の試合を見に行って疲れてるのになんてことさせるの!って言われたの、忘れてないよ。勿論体調管理出来てない僕が悪かったんだろうけどさぁ!


 それとも男尊女卑の文化がまだ根付いてるのかね?クソ親父のせいで。弟もだから性根が腐りきってるんだよ。





 性根が腐りきってるのは僕の方か。






 決して両親の事が嫌いな訳ではない。でも…なんだろう、このやりきれない気持ちは。学校に行かせてくれること、ご飯を作ってくれること、音楽をやらせてくれること…他にも沢山、感謝してる。けど…ね。





 時計の音が僕に決断を迫ってるように感じる。涙は止まらない。


 ただ何も言わず、隣に寄り添ってくれる愛犬の暖かさだけが、生々しく僕に"生きていること"を伝えてくる。ありがとう。君が居なかったら僕は呼吸をすることを放棄していたかもしれない。


 僕はストレスが全て呼吸器系にくる。限界越えると呼吸困難になるんだ、笑えるだろ(笑)夜中に息が出来なくなることに慣れてしまったこと、両親は知ってるんだろうか。喘息の発作みたいに、息が吸えなくなる苦しさ。知ってるんだろうか。





 将来僕に子どもができたなら、こんな思いは絶対させない。うざったいくらい愛情を注いでやる。嫌がられるくらい抱き締めてやる。けど過保護にはなりすぎないように。


 だからせめて今は隣に居てくれる犬にうざがられるくらいの愛を注ごうと思う。






















 こんな僕なんか消えて無くなればいいのに。
















 失敗作め。消えて無くなれ。




















 誰も居ない部屋に、声の出ない嗚咽と時計の進む音と犬の寝息が涙で霞む…。






























 消えろ。

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