異世界転生を果たした僕は与えられたおまけの力を使いできる範囲で世界を救ってみようと思う
Tea
第1話 日常との乖離
僕の名前は橘 大河。
ごく一般的な生活を送る大学生だ。
念願だった一人暮らしをしながら大学とバイトを行ったり来たりする毎日を過ごしている。
趣味は映画鑑賞にゲームに漫画にアニメ。
まあ、SFだとかファンタジーだとか現実とは乖離したようなものが好きなんだ。
別に現実世界が嫌なわけじゃない。
友達だってそれなりにいるし彼女だってちょっと前まではいた。
まあ、彼女とは別れちゃったんだけどそれに絶望しているわけでもない。
それなりに充実した生活を送ってるんだ。
そんな僕は、今日も午前中に大学に行って夕方からバイトに行っていた。
僕のバイト先は下宿先からほど近いスーパーマーケットだ。
僕の通う大学はどちらかというと田舎にあるため、ここら辺の近所にはスーパーマーケットはここともう一軒くらいしかない。
だから、意外と繁盛しているみたいで、ひっきりなしにお客さんが来る。
品出しやレジ打ちなどの業務を行って夜の10時ごろに店を後にした。
今日も忙しかったけど、今から楽しみなことがあるからワクワクしながらバイトを乗り越えることが出来た。
楽しみなことが何かというと、今日は好きな漫画の新刊が出る日なんだ!
僕は週刊誌とかを買わない単行本派の人間だからこの日を楽しみに待ってた。
ということで近所にあるCDやDVD、ゲーム、漫画を取り扱う店にやってきたわけだ。
このお店は大学が近くにあるおかげか深夜まで開店しているので非常にお世話になっている。
意気揚々と店内に入ると、お目当ての漫画が目立つところに積まれていた。
人気の作品だから、いっぱい仕入れてるだろうと思ったけど、売り切れてなくてよかった。
さっそくその漫画を手に取る。
せっかくお店まで来たし、他の本も買ってみようかな。
最近は新しい作品の開拓とかしてなかったし、バイトの給料日ももうすぐだ。
それに明日は大学もバイトもない。
こんな機会はなかなかないかも。
ということで僕は店内をうろうろすることにした。
このお店は意外と品揃えが良い。
田舎特有ともいえる大きな駐車場に一階建ての店舗という外観だが、中は広々としていて様々な商品が陳列してある。
DVDのレンタルとかもあって、一人暮らしの頼れるパートナーってわけだ。
しばらく店内をうろうろしているといわゆるライトノベルというもののコーナーへと辿り着いた。
最近ではライトノベルが原作のアニメなんかもたくさんあるから知っているタイトルがいくつかある。
ただ、僕自身、あまり小説を読まない。
やっぱり漫画みたいに絵がある方が好きという理由と、ただ単純に文章を読むのが苦手ってことが理由だ。
しかし、大学生にもなって文章が苦手っていうのはどうなんだ……。
なんだか自分が情けなくなってきた。
幸い明日は休みなんだ。
これを機に小説にも手を出そうかな。
ということで、一冊ライトノベルを買ってみることにした。
どうせなら知らない作品を読んでみたいな~。
そう考えながら棚を眺めていると、何故だか分からないが一冊の本に目が留まった。
タイトルは、
「アヴァロン創世記」
というものだった。
背表紙のあらすじを眺めてみると、どうやら異世界ファンタジーのようだ。
まあそれはタイトルからでも何となく想像はついてるんだけど。
それで内容は、人間や亜人なんかが生息する世界での文明の発展やらなんやらと書いてある。
つまり一つの世界が出来上がっていく過程を描くものなのだろう。
ありきたりといえばありきたりなのだろうが、何故だかその作品に心惹かれている自分がいた。
ということで、漫画の新刊とライトノベルを持ってレジへ向かうことにした。
会計は1000円ちょっと。
僕の時給で換算すれば一時間ちょっとというところだな、などと考えながら会計を済ませる。
そして家に帰ることにした。
家に着いた僕はまずはお風呂に入ることにした。
本を読むのはその後だ。
サッとシャワーを浴びた後、部屋の椅子に腰かける。
書店の袋を開き、二冊の本を取り出す。
どっちから読もうかな~やっぱり楽しみだった漫画からにしようかな~。
と二冊の本の表紙とにらめっこを行う。
よし、こういう時は神様に決めてもらおう!
「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な……」
昔ながらの選び方をすることにした。
一人暮らしの部屋に虚しい独り言が響く。
一人暮らしし始めてから独り言が増えたな。
やっぱり寂しいのかな、僕。
内心でそんなことを少し思いつつも指さしを続ける。
「……ド・ン・ド・コ・ド・ン」
神様が決めたのはライトノベルの方だった。
本心としては漫画を読みたかったんだけど……。
もう一回やろうかな。
いや、男が一度決めたことを反故にするのはかっこ悪い!
と自分を納得させながらライトノベルを読むことにした。
表紙のイラストはなかなか僕の趣味に合っている。
キャラクターデザインもかなり好みだ。
いざ読むとなるとワクワクするものだ。
「眠くならなきゃいいけど……」
また独り言を呟きながら1ページ目を開く。
その時本の中から手が伸びてきて僕の顔面をガシッと鷲掴みにした。
「……!?」
これは飛び出すライトノベルなのか!?
そして僕は本の中に引きずり込まれてしまった。
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