Works:223~似た者同士~
リズムを刻む音がする
慌ただしく鳴り続いたかと思えば、暫く無音を響かせる
音の出所はキーボードだ
カタカタと音を奏でる
画面には文字が映っている
列は行ったり来たりを繰り返している
打ち込まれては消され
消されてはまた打ち込まれる
そこにもうひとつ音が加わる
うーんと唸る声である
寄せては返す文字列の波
その潮騒というには些か風情がない
どう誘えばいいかなあ?
情けない調子の呟きも仲間入り
よし!と気合いが入る
キーボードが勢いよく叩かれる
数瞬
再び振り出しに戻っていく
回った時計の針は長針が2と4分の1周だ
あれー?と時計を見た部屋の主が首を傾げる
おかしい
さっきまで夕陽が見えていたはずだ
なのに何故空は暗い
そして慌て出す
聖夜と呼ばれる日まで残された時間は少ない
焦る
その勢いのままキーボードに向かう
しかし同じことの繰り返しだ
泣きそうな顔で頭を抱えた
そんな時
パソコンから電子音が響く
慌ててヘッドセットを被り通話ボタンをクリック
呆れ混じりの声がする
さっきから入力中の表示がついたり消えたりしてると
大方誘いたくても誘えなかったのでしょう?
しどろもどろになりつつも同意
ため息とともに約束の時間が指定される
じゃあねと切られる通話
思わず声をあげた部屋の主
彼が知ることはないだろう
彼女が通話ボタンを押せずに同じ時を過ごしていたこと
通話が終わったあと崩れ落ちるようにベッドに転がったことを
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