暗殺一族の末裔が異世界に転生しスローライフ

敷島楓

第零章 これからの始まり編

~プロローグ~ 始まりと終わりの時

 暗殺一族あんさついちぞく末裔まつえの歴史は古く二千六百年も続く古い家だったりする。それも特殊とくしゅ子孫しそんを残し、男が継いでいくと言う変わった歴史ある家だったりする。十六歳になったら少女は、育ての親である父親から『性』をもらい新たな子供を作ると言う狂った歴史のある一族としても有名であった。そして、生まれた子供が男の子なら実際の母親である姉ではなくその母親が子供として育てると言う事が続いている一族でもあった。この母親も元は、父親の姉にあたる存在であり、何故かこの一族では、初めに生まれて来るのが、何故か女の子が生まれて、その子供が『性』を受けると言う事が歴史上何度も続いてきている。そんな西暦二千四百四十二年に生まれた子供もやはり女の子であったが、ここから歴史がくずれた砂時計すなどけいの様に、ゆっくりと砂が落ちて行くのだった。










 ――あれから、十八年の時が過ぎた榎本えのもと家七十五代目当主の娘には、新たな生命が宿っている。もう間もなく子供が生まれると家族全員が病院へと集まっている。誕生の時をいまかいまかと待っている。



 そして、その時が来てしまったのだった……





 病院内に、子供のひびくと共に、一人の看護師かんごしが旦那と言える男性に、無事に子供が生まれた事を伝えに行くのだった。


「おめでとうございます!」


「元気な男の子が生まれました」と待機していた家族に伝える。



 普通ならこの後、娘の母親が娘と換わりベットで横になるのだが、産んだ娘は、この暗殺一族でもまれにみられる天才だった為か、来た母親を自ら暗殺して、手際よくバラバラにした後に、顔の皮だけを上手く剥がし自分の顔に被せるという芸当げいとうまでもこの短時間にこなしてしまうような娘だった。そして、娘は……。うその情報を流して、自分が死んだ事にしたのだった。


 病名は、ショック死であり、先ほどバラバラにした死体を上手く自分と同じ背丈にして、作ってあった顔をい付けると言う技術までも持っていたのだった。

 長女である娘の名は、涼樺すずかと言う名前でもあり、史上最強の天才少女であり、暗殺から偽装までも完璧に短時間で出来てしまう程の腕を持った子供だった。


 そんな少女が何故に、母親である親を簡単に暗殺してしまったかと言うと、それは勿論歪もちろんゆがんだ愛からきた事が原因でもある。


 そもそも少女だった時代は、凄く真面目で、誰からも愛されるような子供でもあり、三歳頃には、天才だった才能が開花かいかされるくらいに、暗殺者としての技術と能力も高くて当時の父親は、古いしきたりを辞めて、素質がある娘に暗殺者を継いでもらう予定だったのだが、娘の17歳の誕生日から様子が変わったのだった。実際の母親でもある親が、十六歳の誕生日を迎えた頃から少しずつ媚薬≪びやく≫と幻覚を見せる薬を自分の旦那と娘達に、食事の中に盛るように、なった。普通に考えても解る事だが、暗殺一家なのだから毒や薬などに免疫力がついており、絶対に効く事が困難だと思うかもしれないが、この時代は、科学の進歩もありそこでの繋がりを作り始めたのがきっかけとも呼べた。娘が生まれてきてから10年の年月が過ぎた頃から旦那の愛が薄れいく感じが、母親でもある美波みなみの心が薄れていく事がだんだんと解ってくる。母がだした答えが、旦那でもあり弟でもある愛した人を失望しつぼうしており、医療と科学に詳しい人間との関係を持つ為に、自分の技術と誘惑でとりこにして薬品を作り成功に至ったのだった。これによって、新たな毒が、体内に少しずつむしばんでいく事さえも気付かずに、娘と旦那は、生活をしていたのだった。


 そして、一年と数ヶ月の年月が経った頃に効果が出てくるようになる。娘は、この頃になると朝の鍛錬たんれんとして、清めの水をしてからの精神統一せいしんとういつをして、朝の鍛錬へと向かっていたのだが、その時に異変いへんが起きる。父親でもある榎本耕えのもときょうを見た瞬間何故か身体に異常がみられる。父親がいきなりおそいかかってきたが、何故か身体に力が入らずのろわれた一族の様に、そのまま父親に手籠てごめにされ、されるがままにそこで記憶が途切れる。気づいた時には、何も無かったかの様に、自分の部屋のベットで眠っておりそのまま朝を迎えると言う何とも言えない悪夢あくむを見る日々が続くのだった。そして、そんな生活が続いているうちに、異変が体内で起きる事が解る。口の中が酸っぱい感じがしており、清めの水の時さえも吐き気が出てしまうと言う謎の病気になった事に気付き、父親と一緒に病院へと行くとその事実に驚愕きょうがくする事になる。


「おめでとう御座います」


「あなたのお腹には、子供ができています」と告げられる。


 父親は、誰の子供だと急に怒り出すと後ろから来た医師に、あなたの子供ではないのですか? と言われると信じられない気持ちを抑えて特殊な方法で、遺伝子を見てもらうと、反応が赤く表示されて、あなたの子供ですよと再度告げられた。


「えっ?」


「父親の子供なんて身ごもった覚えがない」と医師に告げると?


「父親?」


「変ですね、旦那ではなくて、あなたの父親と出来た子供と言いたいのですか?」と逆に聞かれてしまう事になる。何年も鍛え上げた心と器が、簡単な硝子がらすのように、くだけていくのが解った。


 その後におこった行動がまったく覚えておらずそのまま意識を失った事までは覚えていたがその後どうなったかは、知らずに眠りについた。その後、父親が裏の権力などを上手く操り言いくるめた事が病院のベットで看護師から告げられた。


 告げられた後に、看護師からびっくりしましたよあの時は、自分の子供が父親の子なんて言もんだから、出頭した先生方がそれを聞いてびっくりしてしまう事があり、それが事実としてもあの時は、どうしても受けとめる事が出来なかったのが事実だったりした。


「本当に――良かったですね、あなたの優しい旦那さんが傍にいたのでよかったです」と言われる。


「きっと子供をさずかった事で、あなた自身が混乱したのでしょう」と告げられた。


 そして、その原因を作った事が後々解り、母親を恨む事と共に憎悪と怒りが心の中を侵食しんしょくしていくのだった。


 そして、今の現状が復讐ふくしゅうとなっている。それも母親としてなりすましている自分がベットに横になっているのだから不思議といえば嘘になる。親族たちが当主が居なくなった事に対して、騒ぎ出すが何故か元当主である父が行動力がある事で、たった一言を親族に伝えただけで、当主が入れ替わる形になった。それも不思議な事であるのだが、何故か父親は、自分の姉であり、奥さんでもある母親の名前を提示して、当主として親族を黙らせたのだった。その時は、私の嘘がばれていないと思っていたのだった。


 数日が立つと、自宅に戻り自分の子供に、母乳ミルクをあげている自分がいる。他人の子供でもなく、愛して出来た子供でもないが、自分の子供が可愛いと言う心はしっかりと残っておりそして、楽しい三年間を過ごすのだった。楽しと思える時間からの三年間の間に、父である父親が、旅に出ると出てつい最近戻ってくると言う変な出来事もあり、私の息子である名前も決まっていた。榎本薙穐えのもとちあきと習字で書かれた紙が眠っている間に置いてあり、その二枚目に、旅に出て少し今後の事を整理してくると書かれていた。父は、最高の当主だった娘が、死んだ事のショックが大きく、上手く受け入れない場面があった事を覚えている。それだけ期待したうえで、さらに子供まで作ってしまった事などもあった中での『死』は、十分にこたえたのだろうとあの日の父の顔は、一生忘れないものとなる。



 そんな年数が過ぎても父親は、自分の妻である名前を一切言わなくなった。原因を作った事も後々ばれる事になりそれによって、娘が死ぬ羽目になった事をかなり恨んでいる事がいまだに伝わってくる。その事実が勘違かんちがいだった事に気付くのは、更に後の事になる。三歳を迎えた息子の薙穐ちあきは、才能と技術が私よりも早いと解る。三歳のはずが稀に、気配と言うか存在が消えたかのような行動があったりする。この頃から私と父も参加して、息子に技術を教えていくが吸収するスピードが、力と知識がスポンジが水を吸うように、どんどんと覚えていくのが解る。3ヶ月を迎えた頃には、言葉と字が書けるようになっており、絵も一般的な子供よりもしっかりとした絵を描いている事が解ってくる。この頃から薙穐ちあきは、たまに気配を消して何処かに出かけたと思えば気づくと私とお昼寝をしている事が多くなった。それから数年が過ぎて、五歳になった薙穐ちあきは、私が7歳で習得した頃より上の技術を身につけており私の体力も現役時代に戻っている為か、良い技術提供と楽しい時間を過ごす事が出来た。父もこの頃からやっと薙穐に対して笑顔を向けるようになる。もちろん私には、そんな目線などこないのが解ってしまうが、実際の娘だけあってたまに少し寂しくなる気持ちをこの歳でやっと気付いてしまった。


 7歳になった頃から薙穐は、暗殺の見習いとなって父親と良く出かける様になる。私も付いて行きたいのだが、私が生きていた事がばれる方がより怖いと思う様になった。そんな事も知らずに、二人は、ターゲットを狙って、何件か仕事をして帰ってくる。薙穐は、一切手が汚れておらずそのまま私の所へと来る。


「お母さんただいまです!」


「お父さんの技術も面白いのですが、たまには、お母さんも一緒にいきませんか?」


 そんな事を言われて意識してしまい父の顔を見ると久々に目が合う。じっと見られているうちに、私から折れて視線を外す。そう言えば最近親族の親戚同士の集まりも薙穐ちあきが生まれてからやっていないなと思っていると?


「お母さんとお父さんしかこの一族は、居ないのですか?」と急に言われてしまいそのまま父の方を見ていると父の口からかすかにこえが聴こえてくる。何と言うか久々の声を聞いた気がした。なんたって、薙穐との会話は、私が知らない暗号で、話し合ったりしている為か内容がいまいち解らなかった。そんな父親の声が聞けるとは、なんか凄くむずかゆく感じる。


「薙穐よ、親戚もお主の実際の母も、もうこの世には……居ないのだよ……」


 そんな声が静まり返った庭で声が響き渡る。


「嘘だぁぁぁぁ!?」


 僕は、ありったけの声で叫んでいた。


「でわ、ききますが……僕の目の前にいるお母さんは、違う人だと言うのですか?」


「そうだ」と告げる父の一言――


私の顔を見て――違いますよねと訴える眼差しをする我が子だが、本当の事が言える立場でわない為、すんなりと返事が遅れてしまい誤解をうんでしまう事となる。


「否定されないて事は、お父さんが言っている事が事実て事ですか?」


自分の子供に一番指摘をされたくない話題を言わせる父が、この時は、凄く憎いと感情がでてしまうほどに、父をついかっとなって見てしまう。その時に見た父の顔は、何とも言えない笑顔だった事を覚えている。そして――そのまま薙穐と父は、家を出て行ってしまう。止める一言が出ない私が悪いのだが、この時は……本当に、目の前が真っ暗となりそのまま意識を失う私が居た。それから7年たった頃になって、薙穐が家に帰ってくるが、父の姿が居ない事が解る。











◇◆◇◆◇



「ただいま……えっと、お母さん?」と何故か疑問系の発言をする息子がいる。身体は、小柄な方だが、何と言うか鍛えられている感じが凄いくらいに感じる。


「どうして、私がお母さんだと思ったのですか?」と長い年月が過ぎて心が落ち着いている私は、実の息子に対して凄く冷静でいられる。


「あの耐え難い修練に耐えて、全ての技術を手に入れる事でやっと父さんの力を凌駕りょうがする事ができました。 これで、何とか情報を聞き出してみた所やはりお母さんは、あなたであり、僕の姉でもある事の真実をしり戻ってきましたと子供とも思えない笑顔で答える薙穐の言葉が心に響く――」


「それで、私の父であるあの人は、いずこにいますか?」


「解りませんが、深手をおもってから姿を消したと言う事しかわかりません」


たぶんですが、逆襲を考えているか、もしかしら子孫を残す為のにお母様を利用してようとしているかもしれませんが、これまで鍛えたこの肉体で必ずお母様をお守りいたします。 と薙穐の口から言葉がでてくる。


私もあの年月の間に色んな技術を学び習得する事がいくらかあり、自分の武術も開発に成功しているが、それでも暗殺技術の方には、絶対に勝てない事は、解っているがそれでもいくつかは、その流儀に合う物を見つける事には、成功するがそこから繋がる組合せは、やはり見つからなかった。そんな事を薙穐に話すと?


「それって、型が決まってるだけでこうやって崩していけば繋がると思いますが?」と簡単に答えを見つけだしてしまう。


「それよりもお母さん一ついいですか?」


何か真剣な顔になったけどどうしたのかしら?もしかして、何か気になる事でもあったのかな? と息子が何かを言う言葉を待つ母……。


「――っ、ご飯てもう食べれますか?」


「えっと、ご飯食べるの?」


「はい、もうお腹が空いてまして、何かあれば食べたいです」と少し下を向いて呟く息子を見て、何故か少しほっとしてしまう自分がいる。そんな事を二人して、会話が上手く噛みあわずに居た事で、結局簡単な料理を作りなら直ぐに出せると息子に伝えて簡単なおにぎりと余ったおかずを出すと何故か息子が、お母さん美味しいですと泣きながら食べていたのを見て、年相応としそうおうだった事に改めて気づくのだった。


それから数年が経つと息子の薙穐は、十七歳となり立派な男の子から男性に変わり落ち着いて、母親思いで、真面目な子に育った。数年の間に、生活する為の技術と私が知る限りの知識を教える事で、一般の人と会話するくらいまで成長を遂げるのだった。そんなある日の買い物が終わり、一般の人が使っていると言われた公園と言う所へと足を運びゆっくりとくつろいでいると?


「お母様?」


あれから数年が経ち私の事を呼ぶのが、さんから様へと変わっていた。どうやら知識と技術を教えている時に、母親と見ずに一人の師匠と言う感じで物事を身につけて行った事があり、この呼び方に落ち着いてしまう。私としては、お母さんの方が好きだったのだが、息子が嬉しそうに呼ぶのであれば良いかと思う様になっていた。そんなゆったりとした時間を過ごしていると、先ほどまでに騒がしく聞こえた会話が一瞬にして消え去る事に気付く……。


そして、私が殺気に気付くよりも息子の方が暗器を持って、何も居ないはずの場所に投げるとカキィンーと音が鳴る。


見知らぬ男がそこから現れる。息子は、一瞬にして男の後ろに回り込み地面へ倒し腕を抑えて動けない様にしたうえで、男のベルトを奪い去り更に口の中に入れて自害をさせないようにするまでほんの数秒で行う薙穐だった。何もできない男は、少し抵抗をするも出来ず諦めたかのように動かなくなる。私は、息子の近くまで近づき一本の針で眠りへと落とした。


男は、気づくとしらない屋敷に吊るされている。さらに神経毒となるはずの歯が全部抜けており、代わりに歯に近い物がはめ込まれている。男の恐怖は、そこでやっと気づくのだった。これは、請け負っていけない仕事だった事と頼まれた男に嵌められたと言う事が後の記憶に残る。


そんな事がある訳がこれから起きる。何故なら先ほど公園で居た女性が綺麗な着物姿で目の前に居る事が解るも身体から記憶が飛ぶほどの恐怖が体中を抑えられる。


「あら、やっとお目覚めかしら?」


公園で出会った時の様子と違い見た目は、美しい女性としか見えないが、言葉が脳内に入る度に、身体の細胞が少しずつ恐怖で死んでいくような感覚になるくらい自分自身が震えている事に気付く――。


そして、女性の手が頬を触れると同時に、下半身から熱い物が出る事が解る。大人である自分が、漏らすほどの恐怖が目の前にあり、触れられた頬からは、気づかない程に、綺麗な鮮血が頬をつたって、口の中に広がる。


「ねぇ?」


「あなたは、誰に雇われたの?」と耳元で呟かれるとゾクゾクとした事が解るほど身体がこわばっていく事が解った。


「貴男がいくら身体を破損させようと作りかえる事は、造作でもないのよ?」と言われるくらい自分の歯をみて実感する。そもそも写真と情報以外聞かされていない今回の殺人依頼だったが、相手の名前を聞くべきだった事が、彼が最後に思う程の考えであった事は、考えても仕方がない事だったりする。それでもプロとして、彼は……女性に、名前を訪ねるととんでもない事が返ってくる。


榎本えのもと家七十五代目当主涼樺すずかと申すと――」凛とした声が聞こえてきた。その名前は、裏社会では有名どころの一族であって、絶対に敵に回してはいけないと言われる程の暗殺家だった事に、気付くがもうそれは、手遅れだと改めて認識してしまう。


「その方は、何うえ私達を狙ったのかを話すが良い」と透き通る声が耳に聞こえる。それでもプロだと自身がなくなりかけている自分が、やっとの思いで口を開くと、自分が考えている言葉ではない言葉が次々とでてくる事に気付く。依頼者・自分の本当の本名と暗殺のネームとこれに至った経緯も意志が無い程に口から言葉が紡がれた。


それでは、お主は、榎本えのもとの育成機関でそだったで間違いないのだな?と問いかけると小声だが、はいと返事をする。それを聞いて、やっぱりトップを潰さないと黒光りの王と呼ばれる虫に例えて決意をきめるお母様であった。そして、その情報も僕も聞いているので、一瞬にして気配をけして作る場所が何となく会話の断片で繋がり手に持っている暗器を使って静かに敵を屠っていく―― そして、奥行きのある洞窟につくと、中から女性らしい声が聞こえる。これは、お母様の声じゃないて事は、あいつの脅している村からの娘達だろうとイメージが湧くがあの後倒した男達を優しさと言う現実を知ってもらいながらお話をしていると色々と教えてくれる。そのおかげで、ここの場所と内部の情報が整理されて解ってくる。どうやらあの男は、色んな女性を抱いて、子供が出来る様にと育てようと考えるも中々出来ずに、村の危機を救った物として、自らの欲望が全てオープンカーだったりした。これは、着くまでに戦いで疲れた心と体を癒さないとと思っていると?見慣れた女の子がこっちにくる。そして、始めに言われた言葉を僕は忘れない――


なんて展開しているが、親友が君のおかげで研究が進んで今では、自分の場所さえも危ないと思って君の事を伝えてたくて遊びにきたけど、周り死体の山ばかりだったから最近覚えたポーチに、処分するわねと何気なく死体の山が消える。謎だらけだけど? このあたりの娘達を解放しようときたのだけど、もしかして――

本家の元当主が絡んでいる状態なのが解る。連れてこられた女性たちは、虚ろな目で上を向いたままあまり意識が無い状態と奥に行くと赤子と思える幾つかの死体がある。実験に失敗した後の形跡が残っているが、元当主であって認めていない父親の影が見えない。痕跡を探すと何とか一部見つかると異変に気づいた僕は、急いで家に戻ると血の匂いと大勢の気配がある事に、気づいた僕は、気配をけして見かけない連中を瞬殺しながら辺りに溶け込むように進んで行くと、お母さんの後ろから百メートル離れた所に、元当主の男がにやついた顔で、気配をけしてみているが、体温と視線と隠しても解る暗い影が発する感じがビリビリと感じる。


「お母様――後ろを、気をつけて下さい!?」


その一言に気づくなり正確に床に落ちている刀を躊躇いもなく投げつけると刀が何も無かった様に砕け散ったのだった。


「娘よげんきじゃったか?」


「他の娘達では、同族以上の子供ができんのじゃ!」


「じゃからそろそろ二人目の子供をもうけてみないか?」


「虫唾が走る、誰が貴男と身体を負わせるものですか!?」


「気持ち悪いけど、あなたのおかげで息子が良い子だから過去は、許すけど?」――今回の話は、絶対にお断りするわと殺気を込めて元当主である。父親であり、旦那にもなった男に、殺意を込めて言うお母様だった。


「それなら実力で、お主を我の嫁にしてやろう」と動くが、僕の方が父親よりも強くなっている事を父は知らずにいたのだった。初めの正拳突きを手首の間接に指を入れて斜めから関節を折り、そのまま体重を乗せて両足を違う方向へと向けた後に、両手の隙間ごとに、ホチキスの様な芯を入れて両手を塞いだ上に、背骨のある一か所で脆いとされている所に、ナイフを上手いくらいに突き刺し、最後に踵落しを後頭部に叩き込むと、ピクリとも動かないが、まだ安心は出来ないと思いお母様の所へ戻る。すると後ろから異様な気配がすると父親の体は、何事も無かったかのように、傷痕が消えて普通の身体に戻っている。


「あなたは、禁術である変化火へんげびの力を使ったのね……」


「お母様変化火とはなんですか?」


「自分が肉体を交えて、完全にコントロールした者の魂を『魂魄こんぱく』として使う事で、その人間達を犠牲に自分をフル回復させると言う禁術の一つなのよ――それを使ったて事は、禁術の祠の場所を幾つか探し出して、手にれた禁忌よね?


「そうじゃ~」


「先祖代々から受け継がれていたが、場所だけは、何故か解らずやっと一つの禁術を見つけだし改良したのが、この技なんじゃよ?」


かっこつけている父親を見ていて、少し情けなくなる。何故なら僕の右手には……心臓が握られており、呪詛の札がついた苦無で五芒星になるように、刻んで刺してあるのだが、痛みを感じない以上は、気づかないだろと銀色の箱に入れてそっとお母様の所へと持っていく。


「これは何?」とお母様が話してくるので、簡単に軽く中身を見せると?」


「何で薙穐が、それを持っている上に、術式であるその禁忌をしっているの?」とお母様が耳打ちしていると、簡単な説明を書いた手紙を渡し、ここから父親と共に離脱する時に、そっと耳元に伝えて言った。


息子と父親が去った後、息子から渡された紙の内容を見ると? 驚く内容だった。禁忌場所が、七か所のうち六ヶ所が書かれており、残りは、先ほど父親が使っていた禁忌だったと書かれている。祠が何者かの手によって壊されていたからここまでしか集まらなかったと書かれている。それと気になる文が書かれている。


『大好きなお母様へ』


『ここに書かれている内容に、ついて説明します』


『この禁忌は、使うと力が手に入りますが、【代償】と言う物が必ず起きます』


『紙に書かれていた内容の【代償】となる内容が、この六つの禁忌ですが……』


『逆に禁忌を調べ上げた結果凄い事が解っただよね』


『禁忌として使うのは、あくまでも表向きで、実査は、とても素晴らしい事に使える物を書いておきます』


『元々これは、禁忌ではなくこの榎本えのもと家の呪いを解くための暗号書だったのです』


『調べた限りですが、この一族は、元々こんな歴史を歩む事は、なかったと調べてしりました』


『同じ一族で、【血を絶やさない】と言うのが間違いで、この禁忌に書かれている物を作り服薬する事で、榎本家にある呪がやっと説けるでしょう』


『この薬を作る事で、もう二度とこの一家が続く事は、もうなくなります』


『そして、男が飲んだ後に効力が少し経つと解りますが、副作用でショック死します』


『お父さんなんて、これを知ってからは、吐き気がするくらい言えなくなりました』ま、その事は、深く考えなくてもいいですけどね。と苦笑いしたような内容が書かれている。


『僕も父親が死んだ後に、この薬を飲んでこの世を去ろうとしています』


『せっかく、お母様に会えたのは嬉しかったのですが、父親と共に、この世を絶ちます』


『そして、僕と父親が死んだ後に、ここに書かれている内容を僕らから取り出し、ここに書かれている薬材を混ぜるとお母様の呪いもとかれますが、ここでも【代償】が、発生しますが、その代わりに、榎本家からの呪縛がとけるんで、逆に幸せになれるかもしれません』


『それでこの手紙を渡しました』


『薬の効果ですが、お母様が一番若かった頃に戻り普通の生活がおくれるようになります』


『悲しいのが、この一族の思い出と僕の記憶が消えてしまう』と言う事がありますが、そこは、お母様の幸せを考えて、受け入れて頂けたら幸いです。


『それと、【代償】ですが、歳取らずで、時知らずと言う言葉の様に、若返りと永遠の命と言うのがつきまといます』


『一人でいるのは、辛いかもしれませんが、いつか落ち着いて年月が過ぎればきっと幸せな時間がくると思います』


『だから、迷わず薬を作って、お母様の今後の人生を楽しんで下さい』


『この手紙を読んでいる時のお母様は、真実を受け止めて、僕の為にも行動をしてくれると思います』


『綺麗で、強くて、優しいお母様……大好きです』


『お母さんの子供になれて、心から幸せでした』


『本当に、有難う御座います』


『大好きなお母様へ』と手紙には、書かれている。


読んでいるうちに、頬に生暖かい涙が出ている事に、気づかなかった。そして、私は、手紙を強く抱き―― 意識を集中して、心を切替える。息子の為に、私も頑張る事をと思うと薬の材料を集めて、父親と息子がいる場所へと行くと、血だらけとなった父親だが、自分の返り血ではないだろうが、息子の傷が凄くきになる。肩で息をしている息子の顔を見て強い決心がつくと私は、直ぐに行動に出ている事に気付く。


「お父様の言われた通りに、身籠りますからその誓いとして今ここで、キスをしてください」と言うと不気味な顔をしていて、見ているだけで気持ち悪いと思えるくらいに、笑っている。


「やっと気持ちを入れ替えてくれたか、俺は、凄く嬉しいよ」


「解った――お前の言われた通り誓いのキスをしてやるからここに来い!?」


ゆっくりと父親の所に、一歩一歩と足を進めていく、そして目の前に着くと顔をあげてキスを求める。近くで見ると凄く汗をかいており声も水分が抜けたような声をしている事にも気づき、懐にあった水と見えないよに薬を口に含んで、父親の口へとキスをして、水と薬を飲み込ませる。その後……何度か気持ちの悪いキスが続くが、なんとかその場を離れて息子の近くにいくと、息子の口元が動く――


『有難う、お母様』


『僕は、とても幸せでした』


『お母様も今後幸せになって下さい』と見た事ある薬が息子が持っている。息子は、躊躇いもなく口にそれを含み飲み込んだ。


『幸せに、なってよね、お姉様』と事実でも聞けない言葉が最後の言葉となり息子は、その場から崩れう様に、倒れて行く所をそっと抱きかかえるが、とても良い笑顔で息がない事が解る。体温がさがっていくのが解と自分の手が震えている事に気付くと同時に、後から父親のうめき声が、大きく聞こえてくる。


「なんだ、身体が熱を浴びたように、熱すぎる!?」


「再生も出来ないこの痛みは、なんだぁぁぁぁ!!」


どうやら薬の効果が効いてきた様子だった。叫びが収まると崩れる様に倒れて行く父親……。顔は、気持ちの悪い顔のまま命が断たれたと考えるべきなのだろう。そして、ふたりの身体から薬となる箇所を貰い……。


私は、生まれ変わり、その本家を出ていくのだった――。

薬の効果が効いて来たのか、記憶が幸せだった記憶へと塗り替えられており、都市へと引っ越して、学校に通う私がいる。心に何か足りない気持ちを持ちながら、私は、この都市で、生きていくのだろうと思いながらゆっくりと歩き出す。それでも家族をみるとたまに、頬から生暖かい涙がでてしまい、友達からどうしたの? と言われる事があったりしたが、それについての記憶が無いが、きっと幸せの記憶だったのだろうと思いながら、友達と楽しく未来へと道を歩いて行ったのだった。



それから少し戻り、時間が過ぎた頃……。

死んだ後の僕は、何故か暗い部屋で、赤い色の絨毯に、横になっている。ここは、どこだろうと思うがなかなか体が動かない―― それは、血だらけだから当然なんだろうと思いながら、あたりを見渡していると、遠くから足音が聞こえてくるが、僕の意識は、その場で飛んでいくのだった――。

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