第6話
――やばい!
すぐさまここを離れるに限る。
しかし間に合わなかった。
入口のほうへ振り返ると、そこに男が立っていた。
逆光となっていたためにその顔を見ることは出来なかったが、その男は背が高くてがっちりとした体格であることと、その手にライフルが握られていることがわかった。
男が言った。
「油断してたな。ここは滅多に人が来ないから、ちょっと出てすぐ戻るから大丈夫だと思って鍵をかけていなかったんだが、まさか不法侵入者とご対面することになるとは思いもよらなかったぜ」
低くて重い声だった。
「……」
俺がなにも言わないでいると、男が言った。
「おまえさん、見ちまったね。人のプライバシーに土足で踏み込んでくるなんて、悪い子だなあ。もちろん悪い子には、ちゃんとお仕置きをしないとな」
俺は一瞬、ベッドの上にある大きなはさみやメスに目をやった。
あれを使って反撃することを考えたのだが、ベッドまでは少し距離があった。
仮に全速力で取りに行っても余裕で背中を撃たれるだろうし、たとえ取ることが出来たとしても、男に近づく前に撃たれることになるだろう。
男が俺の視線に気付いて言った。
「ほう、解体器具を使って、俺とやりあおうってのかい。おもしろい。やれるもんならやってみな」
もちろん俺は動かなかった。
絶対に負ける勝負なんて、やるわけがない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます