第2話帰り方はさっぱりわかりません。

可笑しな生活が始まって早一週間。


未来のとはいえ

自分に世話になるというのは

些か不思議というかなんというか……


ご近所では僕の存在は

未来の僕の父方の従弟いとこ

夏休みを利用して遊びに来てる

ということになっている。


名前は寺崎典晴てらさきのりはる


父方の従弟なら

名字が同じでも怪しまれない。


こうして、二人の手伝いをしながら

【元の世界】に戻る方法を探している。


果たして、何のために

僕は未来に飛ばされたのか……


向こうで僕が寛に対して

この想いを伝えられずにいるからだろうか?


だから、未来では付き合っていると

教えたかったんだろうか?


誰が何のために?


そして、【元の世界】の僕は

どうなっているんだろう……


こんなに、

のんびり過ごせるのも

何だか久しぶりだし、

帰り方がわからない以上

過ぎていく時間を過ごすしかないよな。


*★*――――*★**★*――――*★*


こっちの世界で

暮らしていくのに必要なものは

二人が買ってくれたため、

僕の物が増えていった。


「あのさ、二人共

そんなに僕の物を買わなくていいよ」


だが、いくら帰るすべ

ないとはいえ

向こうに持っていかれない以上

無駄な気もしてしまう。


『気にするな。


僕達が買ってやりたいだけだから』


ぅ"っ……


まぁ、僕が逆の立場なら

確かに同じことをしているだろうけどさ……


未来の自分だけに

気持ちがわかってしまうのが

何ともいえない(苦笑)。


「ありがとう」


こういう時はお礼を

言うのが正解かもな。


『どういたしまして』


ウインクしながら寛が答えてくれた。


イケメンは何しても様になっていいよな(笑)


そんなことを思いながら

また、一日が過ぎていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る