第4話 そつなくこなす男
「こいよっ、黒」
剣の名前を呼ぶと天志の右手の掌の文字が一つ赤く光った、その瞬間、黒が出現した。
「うお!出やがった、これでうさちゃん倒せばいいんだな」
「うん、テンテンみたいな戦闘初心者でも、ある程度なら黒が教えてくれるから、あのくらいのお雑魚なら余裕だよ、だから最初はここら辺の魔物を、体力が続く限り倒しまくってレベルを上げるよ」
「よっしゃ、いっくぜっ」
天志はピクニックラビットまで駆け寄りそのまま黒を振り下ろす。
その瞬間、何の抵抗もなく魔物の体を切り裂き、一体の魔物は霧となって消えた。
すぐ横にいたもう一体も横薙ぎに切る、同じように抵抗もなく切り裂き霧となって消えた。
!ピロリーン・レベルが上がりました
「うお、なんだこれ、レベル上がったぞ」
「最初だからそりゃすぐ上がるよ、この調子でどんどん強くなってね」
「はいよっ、意外と俺強くね」
「うん、もっと下手くそかと思ってたんだけど、格好はさまになってたね」
「下手くそ言うな、俺は何でもそつなくこなすんだよ」
「そうなんだね、でもそつなくじゃなくて、最強クラスになってもらう気だから、並程度でうかれないでね」
「わかってるよ」
テンテンには最低でも一人であいつを倒せるくらいになってもらわないと、時間が全然足りないな、他の子達も早く見つけてできるだけ早く強くなってもらわないと。
「テンテンいけぇ~~」
「いってるよ、ちくしょ」
天志は見つけた魔物は片っ端から倒していた、リンがとにかく倒せ倒せとうるさいからだ。
今もちょうどカエル系の魔物ゲコルンデスを刺し殺して霧になったところだ。
「もういいだろリン、結構やったぞ」
「お雑魚ばかりだけどね、ねね、レベルいくつになった?」
「はっ?いくつになったって聞かれても、何度かピロリンなったけど、覚えてねぇよ」
「あっ、そっかテンテンまだ見れないもんね、忘れてたよ、じゃあ今日はこのくらいにして明日またやろっか、今日はこのままハパールでギルド登録しよ、それでスキルブックだけでも貰わないと何かと不便だからね」
「待て、色々出てきてわかんねぇ、一個ずつ頼むわ」
「もぉテンテンは弱い子だねぇ、だから、今日はこれからハパールのギルドに行くよ、ギルドで登録すればスキルブックが貰えるんだ、スキルブックはこのエレクシアの身分証みたいなものだね、その人のレベルや強さなんかを表示してくれるんだ、で、ギルドでスキルブックを見せるとその人に合ったクエストなんかも紹介してくれるよ、クエストをこなしてお金も貯めないとね、リンの体があればお金には困らないけど、今はね、これがこれでこれなもんでってね、無一文だからね」
「スキルブックね、便利なものなら貰っとくか、それよりハパールにはいつつくんだ?」
「もうすぐだよ、この丘を登れば見えるよ」
天志のいるグリーフは、緑に囲まれてのどかな感じだが、小高い丘がいくつもあり起伏がはげしい。
「うおっ、見えたあれがハパールか」
「うん、そうだよ、取り合えず第一目的地には無事についたね」
ハパールの町は、3m位の丸太で町を一周囲まれていた、魔物に侵入されない為の対策だ。
三か所ある出入り口も一か所以外は閉じられている、門番らしき人に軽く会釈をし、町に入る。
町並みは石造りのものが多く、所々に木で簡単に作られたテントのような建物があり何かを売っている
まぁ驚くこともない想定内の町並みだ。
「ほらテンテンあれがギルドだよ」
町を入って、すぐに目に入るひときわ大きい建物それがギルドらしい。
「へぇ~以外と大きいんだな」
「そうだね、ギルドはこのエレクシアの町にはほとんどあるからね、村みたいな小さい所はないけど、だから自然と人が集まって、資金が増えるそれで建物も大きくなっていったんだよ、ギルドの上の何人かは国王クラスの権限があるくらいだからね」
「お前なんでもしってるな」
「だってリン・・・・の方がテンテンよりエレクシアに住んで長いんだよ、テンテンより詳しいに決まってるじゃん」
「そりゃそうだ、まずはギルドに行けばいいんだよな」
「うん、お金が全然ないからね、スキルブックを貰って、今日テンテンが倒した魔物の討伐報酬貰わないと野宿だよ」
「討伐報酬?」
「うん、クエストとは別に魔物を倒すと、その数と魔物の強さによってお金がもらえるんだ、魔物はほとんどが存在悪だからね、倒してもらうのに越したことはないんだ、でもお金にならないならみんなクエスト受けちゃうでしょ、そこで倒した魔物に応じてギルドで討伐報酬を払うようになったんだ、でもお金を稼ぐならやっぱりクエストを受けた方が儲かるんだけどね」
「なんとなくわかったわ、とにかく魔物倒せば金が入るってことだろ、レベル上げるために鍛えてれば勝手に金になるんだな、一石二鳥じゃねぇか」
「うんそうだね」
本当はクエスト受けながらの方が効率いいんだけど、たまには未来の旦那の顔も立ててあげないとね
「それじゃ受付しちまうか」
「うん」
そんな一人と一匹の姿を遠くから見ている影が一つ。
「あいつか」
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