p36 - 気付かない振りをして


きれいな色で自身を染めて

「私を見て」と

語りかけてくる君は


ああ、なんとあっけない


小さなおててに引っぱられ

ぶつんと大きな音を立てて

僕の目の前に差し出された


「きれいな花ね」と

にっこり笑うのは

君を殺した張本人


「そうだね」と

つられて笑う僕は

君を殺した共犯者

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る