第63話 ローデンシアの今後

その日の夜、事情を説明してもらう為にリリエルと城へ転移した。事に及んでしまったが、オレも事情を知らない。泥酔して、朝起きたら知らない女性が寝ていたのとは訳が違う。言い訳出来る要素が無いのだ。ちなみに、嫁さん達に叱られた時のセリフなら用意してある。『切腹致す。介錯して下され』だ。本当に迫られたら、ジャンピング土下座だろう。この2段構えならば、きっと乗り切れると信じている。


案の定、怒り担当のスフィアの雷が落ちたので、オレは床に正座し対策を実行に移す。


「切腹致す。介錯して下され!」

「・・・わかりました。クレアさん、お願いします。」

「わかりました。・・・いつでもどうぞ!」


クレアさん・・・それって、オレがプレゼントした剣ですよね?自分で作ったから良くわかるけど、そんなので切ったら首なんてあっさり切れちゃいますよ?このままではマズイので、次の策を実行に・・・移せな~い!!正座してるからジャンプ出来なかったぁ!?


ど、どうしよう!?全力の魔力強化で屁でもこいたら飛べるだろうか!?しかし!下っ腹に力を入れてみるが、そんなに都合よく出る訳がない!!むしろ実が出て終わりだ!オレの人生も終わる。何も出なくても終わる。それならいっそ、実でも出してこの件から目を逸らしてもらえば・・・オレ自身から目を逸らされるのがオチだ!!


人は、気が動転していると良い案が出ないものである。結局オレは、そのまま土下座しまくった。その間に、リリエルが事情を説明してくれたようだった。


「全く・・・今回は世界の危機でしたので大目に見ますが、私達の心は無限の広さではありませんからね?」

「は、ははぁ!お代官様、ありがとうごぜぇます!ん?世界の危機って何?」


この後、皆からローデンシア天空王国とリリエル達の説明を聞いた。そして思った。どうして責められた!?だがしかし、駄菓子菓子、そんな事は言えないのである。開き直るのも、オヤジギャグを飛ばすのも禁止だ。オレの評価が下がってしまう。元々地面にくっ付いている評価が、地下まで行ってしまうのは避けたい。


夜遅くに解放されたオレは、風呂に入って休むように言われた。当分の間、オレは犬だ。主人の言いつけは忠実に守る。そしてメスを見つけては腰を・・・これじゃ駄目じゃん!

風呂の打たせ湯で修業しよう。ニンニン!・・・さっさと行こう。


「ルークは行ったみたいですね・・・。さてリリエルさん、今後どうされるおつもりですか?」

「ん~とねぇ、私達もダーリンの近くに住むよ?」

「「「「「「「「「え!?」」」」」」」」」


スフィアの問い掛けにリリエルが答えたが、内容は理解出来なかったようだ。


「皆で話して、島をこの城の上空に移動する事にしたの!皆ダーリンの近くがいいって言うからさぁ!」

「そ、そうですか・・・それから、もう学園にも通う必要はありませんよね?夜の行為も時々で問題無いと言うお話でしたよね?」

「ん?通うよ?ダーリンと一緒に居たいし。あっちの方も、出来れば毎日がいいかなぁ!」

「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」」」」」」」

「ど、どうしてですか!?」

「スフィアちゃん、質問多過ぎぃ!私達全員、病みつきになっちゃったからに決まってんじゃん!」

「(やはりこうなりましたか・・・。頼んだのは私ですから、間に入って調整するのは当然でしょうね・・・。)」


この後、カレンの説得の甲斐あって不満の出ないローテーションが決められたが、知らないのはルークだけであった。


ちなみに有翼人の名前は


リリエル

ミリエル

シシエル

ネムエル

ラクエル

イルエル

キリエル

レルエル

ロムエル

ノルエル


である。(順不同)


実際は王国と呼べる代物ではないのだが、ローデンシアの内情を知るのはルーク達のみである為、今後も情報が訂正される事は無い。ルーク達以外には不干渉の姿勢を崩すつもりが無い為である。


常に全員が島に居る必要は無い為、数人が順番にルークと行動を共にするが、それは完全に力を取り戻してからのお話。

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