第17話 魔法兵
「将軍、我々が突入しましょう」
ノンデイル将軍に、俺たちが突入する意志のある事を伝える。
「おお、シンヤ殿、やって頂けるか」
「ええ、将軍もいろいろと思うところがあると思いますし、長引くと国王陛下も困るでしょうから。ここは早急に決着をつける方が良いのでは?」
「まあ、たしかにそうだな」
「それでは、前の時と同じようにして門を破ります。フェニ」
俺が呼ぶと、不死鳥のフェニが上空から舞い降りてきた。
「前と同じように、あの門を壊してくれ。そうしたら、突入する」
「ピー」
前と同じように鳴いた。
フェニを空に放つと、上空で一周してから、赤い光の筋となって門の方に突入する。
「ドゴッ」
門に穴が開いた。
「ウォーターツリー」
マリンが水で出来た円錐柱をその穴に突っ込む。
「フリーズ」
円錐柱が凍ると同時に、門にひびが入り、そして壊れてしまう。
今回、城壁の上の弓兵はミュとエリスの結界で防ぐ事ができるので、弓兵に対しての対応はしない。
俺たちに飛んでくる矢を結界で防ぎつつ、門のところに来た。
「ウォーターカッター」
壊れた所を中心に、マリンがウォーターカッターで門を壊していく。
門が壊れた所で俺たちが、キチンに乗ったまま邸内に入った。
すると、先の方に兵士が武器を持ってこちらに対峙している。
その一番前に居るのは、黒いローブに黒いフードを被った5人だ。
「ヒキアベックス将軍には投降して貰おう。今の時点であれば、陛下の寛大な措置があるだろう」
「「「「「ファイーボール」」」」」
5人が一斉に唱えると、5つのファイヤーボールがこちらに飛んできた。
「ウォーターウォール」
俺たちの目の前に大きな水の壁が出来、ファイヤーボールは水の壁に遮られる。
「「「「「ファイヤーアロー」」」」」
今度は、ファイヤーアローだ。だが、それも同様に水の壁で遮られる。
これが聞いた火魔法使いの5人だろう。
だが、一番、中心に居る火魔法使いのファイヤーボールでも、大きさはバレーボールぐらいだった。
一番小さいファイヤーボールはテニスボールぐらいの大きさだ。
ミュのファイヤーボールを見慣れている俺たちにとっては、驚くほどのものではない。
ラピスのファイヤーボールでもソフトボールぐらいの大きさはある。
「ファイヤーボール」
ラピスがファイヤーボールを放ったが、相手方もファイヤーボールを放ち、空中で相殺した。
「「「「「おおっ」」」」」
それに驚いたのは相手方だった。まさかこちらにもファイヤーボールの使い手が居ると思わなかったのだろう。
それも、相手の一番の使い手に次ぐ大きさのファイヤーボールだ。
「くそ、魔法力の回復に時間がかかる。槍隊、時間を稼いでくれ」
火魔法使いのリーダーと思われる、中心に居る男が叫んだ。
それと同時に、槍隊が出てきて、俺たちを攻撃し始めるが、ミュとエリスの結界は全ての攻撃を弾く。
今度はエミリーが剣を抜き、槍隊の中に入って、相手を倒していく。
それはラピスも同じで、マリンやミュも戦っている。
俺も、ゴッドソードで槍隊の中に突入したが、俺が突入する頃は、槍隊の連中は浮足立って、逃げていくところだった。
槍隊が後方に下がると、先ほどの魔法兵がまた出て来た。
「完全回復とはいかないが、だいぶ回復できた。ここからは俺たちが相手をする」
「パン」
拳銃の音がした。
見るとリーダーの男の額に赤い点がある。
男は目を見開いたまま、前のめりに倒れて来た。
「パン、パン」
続けて2発発射される音がする。
今度は倒れた男の両脇に居た魔法兵が倒れた。
「「ひぃー」」
残った二人は女性だろうか。悲鳴を出して、その場に座り込んだ。
魔法兵は貴重さから戦場に行っても戦闘は最初だけだ。それは、魔法力が続かないというのもある。
なので、今まで、自分たちが殺されるような現場に遭遇した事がない。
しかし、今回は違う。場合によっては死ぬ事になる。その恐怖が一瞬にして彼女たちを襲った。
「た、助けて下さい。なんでも言うとおりにします。お願いします」
見ると猫族の少女二人だ。
彼女たちを見るとウーリカとミスティの姉妹を思い出した。
彼女たちはこの北の国で生まれたと言っていたが、この二人と関係があるのだろうか?
「分かった、投降すると言うのなら、迎えよう」
彼女たちが投降すると、他の兵士たちに動揺が広がった。
「お前たちはどうする?投降するなら見逃すが、かかってくるなら、こちらもそれなりにやらせてもらうぞ」
兵士たちはお互いの顔を見ていたが、それでも再び槍を構えた。
「フェニ」
上空に居たフェニが俺の右肩に来た。
「あいつらの中に突っ込んでくれ」
「ピー」
フェニが兵士の中に突っ込んで行くと、突っ込まれたところの兵士に火が点き、慌てて消している。
「熱い、熱い」
「水だ、水を持ってきてくれ」
そこに俺たちが斬り込んだので、兵士たちは堪らず崩れ出す。
槍隊が崩れて逃げ出した先には、立派な鎧姿の兵士たちが居た。
「ここからは我々が相手をしよう」
見ると10人程だ。その中の一人が進み出てきた。
「いざ」
ミュが出ようとするとエミリーが制した。
「私が行きます」
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