Deusu do Poetos

山川一

第1話 昔話

神々の王ゼウスはある時、人間の女エウリュイアに恋をしました。

ある時、エウリュイアの父と母が亡くなってしまいました。エウリュイアが大変に泣いているのを不憫に思ったゼウスは、エウリュイアの父と母を生き返らせました。しかし、冥界を管理している冥王ハデスはこれに激怒しました。ゼウスに対し、エウリュイアの父と母を冥界へ戻すよう要請しましたが、ゼウスはこれを断りました。そこで冥王ハデスは、死者の大軍をゼウスへと差し向け戦争をしかけました。ゼウスも幾千もの雷を落としてこれに応戦しました。ハデスの兵士は次々と倒れ、ハデス自身も深手を追ってしまいました。しばらくして、諦めたハデスが冥界に帰ったので、ゼウスはエウリュイアの父と母を生き返らせたままにしておくことができました。


ある時、エウリュイアの家に盗賊が入り、エウリュイアは攫われそうになりました。ゼウスは武器「ケラウノス」を使って賊を射殺しました。また、二度と賊に入られないよう女の家の周りの土地を隆起させて壁を築きました。


そうして、ことあるごとに神々の王ゼウスはエウリュイアを助けたのです。エウリュイアが欲しいと思ったものはなんでも手に入れさせました。


しばらくすると、エウリュイアは自分の身の回りに不思議なことが起こることに気付きはじめていました。そして、以前盗賊が死んでしまったのは自分のせいではないかと考えるようになりました。これ以上生きていては、世の人々に迷惑がかかってしまう。そう思ったエウリュイアは崖から飛び降りて自殺しました。


これに驚いたゼウスは、直ちにエウリュイアを現世に生き返らせようとしました。しかしそれはできなかったのです。自ら死んでしまった者は、たとえ生き返れるとしても、現世に帰ってくることがないのです。


これを知ったゼウスは大変悲しみ地球全土に大雨と洪水を起こしました。


「なぜこのようなことになってしまったのか。

 それは、私に力が足りなかったからだ。

 二度とこのような悲しみを繰り返さぬよう、

 新たな世界に作り直さねばならない。」

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