SF習作教本 ── 浦島太郎編

相生薫

はじめに

 まず、この試みは「浦島太郎」が事実であったと仮定して、SF的に描いてみようじゃないかという提案である。

 SFの力で持って、さも事実であるかのように、タブロイド紙的物語をでっち上げることにある。

 そのまんまでも十分SFなのだが、もう少し現代的解釈と個性を加えて面白おかしい物語に書き換えてみようじゃないか、というのがこの拙文の主旨である。


 そこで如何に本当らしくでっち上げられるか、言葉の魔術で競い合おうではないか、という訳です。 


 一口に「浦島太郎」と言っても、そのバリエーションは、なんと五十種類以上あるらしい。


 皆さんが知っているのは「国定教科書」版と言われるバージョンでしょう。

 所謂、小学校の教科書に載っていたバージョンだ。

 その他、絵本なども大体このバージョンではないでしょうか。


 起源を調べると、日本書紀にもその原型なるものがあるので、かなり古いし、様々なバージョンが有る。


 地域的にも、全国各地で浦島的口述伝承がある。日本だけでなく他の国にも似たような昔話がある。

 それら全てが同じ事実から派生した口述伝承だとしたら、その事実はどんな事件だったのか妄想するに際しては、それらの少数派バージョンも見てみない手はない。

 バリエーションが増えれば、アイデアも増える。

 バージョンAとバージョンBを組み合わせれば、パターンもそれだけ増加する。様々なバリエーションの都合のいいとこだけをピックアップして、「浦島太郎SF」をでっち上げたら面白いのではないだろうか。


 そこで、まずは様々なバージョンを検証しつつ、皆様の想像力と妄想力をかき立てるアイデアを提案していきたいと思います

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