さて、アヘについて語ろうじゃないか。
中田祐三
我らが総統アヘ語りき
諸君、アヘである。 洋の東西も問わず、またアジア、中国であろうと無かろうと人類の歴史はつまり性癖の歴史でもある。
考えてもみたまえ、我々は一人の例外も無く性行為によりこの世に生を受けたではないか。
諸君らの父も母も祖父母でさえ等しく性交により誕生してきたのだ。 いや、性交なしに人類がここまで広がり成功することなどなかったのだ。 それを否定することは誰であろうと反駁することなどできない。
しかるに昨今の現状はなんとも物悲しいではないか。
やれアヘはオカシイ。 アヘだけは無理。 もうエロじゃなくてギャグじゃんと外国だけではなく、我々日本人の中にもそのような意見が残念ながら多々語られている。
確かに性癖というものは度し難い。 例えるならば百花繚乱咲き乱れた光景にも思えるだろう。
だが我々こそが、諸君! 我々こそが目指すものこそが真理なのだ。
私はそう愚考している。 いや愚考というのは些か諸君らに対して失礼であった。
諸君、我が元に集まった歴戦の有志である諸君らも同じ気持ちではないだろうか?
諸君、私は他でもない君達にこれを語りかけている。
諸君、我々、アヘリストは残念ながら少数である。 他勢力との人数差は如何ともし難い。
だがいつの時代も歴史の転換点の中には大勢に潰されてきた一部の真理者が存在していた。
それが我々だ。
では我々は何だ? このまま歴史の愚者達に踏みつぶされ、幾十年、幾百年の後に彼らこそが正しかったと言われるような善意の脆弱者で終わるべきだろうか?
否! 断じて否である!
諸君らは善意の心を持った良人ではあるが、決して軟弱ではない!
諸君、気づきたまえ。 わが国固有の性ジャンルである『アヘ』。 それらを総称した『アヘリズム』、そしてそれらを体現した我等『アヘリスト』こそが次なる歴史の勝利者となるのだ。
諸君、顔を上げよ! 胸を張れ! 両の腕を高く掲げよ! そして叫べ、力の限り!
我々アヘリストの掲げる旗『アヘ旗』に!
我々がここに居ると! アヘの汁 絞りつくそうとも我々アヘリストは永遠である。
『アヘリスト万歳!』
『アヘリズムに栄光あれ!』
『ふっは~! アヘ!』
『寝取られアヘ者に死を!』
諸君、心底からの喝采をありがとう。
諸君らの気持ちは十分に伝わった。 同じアヘリストとしての諸君らの誠心に私は感謝の涙を禁じえない。
そしてアヘリズムの永遠さを確信することが出来た。
諸君、感謝をする。 本来ならこの壇上を降りて諸君らの肩を抱き、同志の契りを交わしたいと思う。
しかしながら、私はアヘリストの代表でありアヘリズムの体現者としてこの問題を語ることを避けるのは許されない。
諸君、先ほど私は性癖とは度し難いと言った。
性癖というものはまさに千差万別である。 それこそが人類の素晴らしさと次の革新性を生み出す原動力となるものだ。
だがそれこそが我々と他勢力との隔絶してしまう一因となっていることはとても悲しいことだ。
そしてそれは我々アヘリストにとっても同じことなのだ。
先ほど、勇気のある者達が『寝取られアヘに死を!』という言葉を叫んだ。
私はそれに安易に同意はしない。 かといってそれをとがめだてる気もない。
なぜなら同じアヘリストだからだ。 アヘリズムの前では全てのアヘリストは平等であり、同じ志を持った仲間なのだ。
アヘリズムは人類の真実である。 そしてそれゆえに誰もが様々な『アヘ感覚』を持っている。
それ自体は歓迎すべきことだ。 様々な視点から見たアヘリスト達による闊達な議論はアヘリズムを更に未来に進ませてくれるだろう。
私はそう考える。 そして諸君らにもそう考えて欲しいと願っている。 いやこれは願いではない、命令だ。 命令ですら生ぬるい。 これはアヘリストとして忘れてはいけない義務である。
だがお部屋の中の戦術論にかまけて、大事なことを忘れてはいけないのだ。
諸君、この場には一人の例外も無くアヘリストしかいないと確信しているが、その中味が樽の中の酒であると同義ではないだろう。
古きアヘリストである私でさえ、深遠なるアヘの中にも些か違いがあることは知っている。
寝取アヘリズム。 くっ殺派。 薬物的アヘリスト同盟。 純愛アヘリズム。
様々な支流がある。 そして諸君らも大なり小なりこの中のどれかにシンパシーを感じているだろう。
またそれぞれの信望者達によって忠勇なるアヘリストである諸君らがいがみ合うさまを見ることは信じて送り出した恋人がアヘ顔ダブルピースビデオレターを送ってきたときくらい辛いものだ。
だが私はそれすらも飲み込む。
ビデオの中で『○○君よりもこっちの方がいいの~~!』と言われようが、私は唇を噛み、涙を堪えて鬱勃起させることが出来る。
なんならそれをオカズに一日三回は余裕だね! と言い切る覚悟さえあるのだ。
諸君、我々の戦いはまだまだ続くだろう。
愚昧なるアヘリストを非難する者達の全てを抑えつけ、カメラの前で、彼氏の前で、衆人環視、あるいは孕ませENDでアヘ顔ダブルピースをさせて喜んでいるヒロインの姿を見せて等しく勃ちあがらせるその日が来るまで我々は戦い続けねばならないのだ。
ゆえに諸君、各々の性向、性癖を今は抑え、等しくアヘリストの楽園を作り上げるその日までどうか共に戦ってほしいのだ。
そして戦いが終わり、戦友の墓の前で我々は誇らしげに微笑みながら共に叫ぼうではないか、みさくらなんこつ語録を、あるいは三糸シドの名言を。
嬉ションしながらアヘ顔ダブルピースを!
そしてその世は永久に続くことになるだろう。
諸君らと私の夢を紡ぎながら。
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