蓬莱のシーフー

作者さま:毒島伊豆守

キーワード:仙人 妖怪 中華料理 ほのぼの バトル



あらすじ

父が遺した中華料理屋「蓬莱軒」存続の危機に瀕していた主人公の前に、中華鍋を背負った青年「シーフー」が現れた。変わっているが腕は確か、そして正体は長くを生きる仙人!? さまざまな中華料理と不思議な事件の数々!


感想

料理の描写が本格的ですごくおいしそう。グルメ系でも中華は珍しいので印象的。


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刻んだしょうがをパッとまいた2秒後には溶き卵をボウルから投下。鍋底に黄色い大輪の花が咲く。

 中華料理は基本強火。卵などはあっという間に半熟時代を通過して固まりはじめる。花の命は短いのだ。

そうなる前に、ここで冷えたご飯(お好みに応じて温かいご飯でもOK)をどかんと投げ込む。

 東京ドームみたいな形のご飯を杓子のでザクザク崩して卵と絡ませる。同時に手早く鍋を振って中身を空中回転させながらまんべんなく炒めていく。

この時、杓子の背を使うタイプと縁を使うタイプに別れる。シーフーは父と同じ縁派だった。

ちょっと懐かしいかも。


 ご飯がパラパラになったら塩をパラパラ。パラパラコンボ。

 また鍋と杓子をカシャカシャきしらせまくって鍋をシェイク!

イメージはバイオリン(鍋)を猛烈な勢いで引く弦(杓子)。バイオリンでこれをやると耳を塞ぐことになるが、中華はここがロックンロール。マジで。

 びっくりしたご飯が少し鍋の外へ飛び散るっても|無問題<<モウマンタイ>>。むしろ豪快なこれを喜ぶお客さんが多い。


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チャーハン! お腹が減ってくる見事な描写。音が聞こえ匂いが香ってくる。ちまき・フカヒレのスープ・エビチリ……ああ、どれも食べてみたい。うまい中華料理はほんと幸せになります。

またシーフーのひょうひょうとした性格が実に魅力的。色々とギャグを言い自由気まま。いつでもマイペース。だけど契約は守るし誇りはある。そして強い! 人間離れした雰囲気がよく出てます。

ユーモアたっぷりで明るい軽快な文章ながらも、時にブラックな結末・シリアスシーンも書かれ物語の味に深みがある。困っている人がすべて上手く救済されるとは限らない。シーフーは仙人であって正義のヒーローとは違う。ゲストキャラ1人1人の描写にもすごくリアリティがあり、作者さまの人生経験と人間観察の積み重ねが感じられますね。

飯テロ・ギャグ・シリアス・バトル、色々な風味が絶妙なハーモニーを生み出している作品です。


状態:連載中

文字数:144,443文字


個人的高評価ポイント

◎ 高い完成度!


作品URL

カクヨム https://kakuyomu.jp/works/4852201425154932938

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