仕事をしないで その2
そんな時、花岡くんの賃貸アパートに、1枚のチラシが入っていた。何気に見ると、3L DKで780万円の中古マンション物件が載っており、月々の返済額が約2万円と記されていた。
そのまま捨てようと思った手を止める。
「待てよ…。そうか、家を買って仕舞えば仕事を辞められるかもしれない。」
子供がいるような家庭ならそんな事は言えないかもしれない。しかし、世の中、子供がいる人ばかりでもないである。
花岡くんは妻と2人暮らしであったが、子供の予定もなかった。人それぞれの生き方があっていいのである。
人それぞれお互い敬うことがあっても、自分で責任を持って生きているのなら、批判も受ける必要もない。
という訳で、早速試算に入った。
780万円のマンションを買ったとして、35年ローンで月々の支払いが約2万円。しかし、それだけでおわるはずもない。
マンションの場合は修繕積立金と管理費を約3万円見ておく必要がある。そして、買ったとなると固定資産税は年間10〜15万だとして、1カ月1万円を見ておく。そして更に、駐車場代が1万円とすると、1カ月のランニングコストは7万円になる。
それともう一つ心配なのは、中古マンションがもう既に築30年経過しており、花岡くんがローンを払い終わる頃は築65年。更に人の人生は分からないが85歳まで生きたとしたら、その頃築75年になっており、その頃、住まいがどうなっていくか議論されると思うと、人生の最後で住まいについて、おちおち落ち着いていられないのである。
そう考えると、やはり蓄えは必要であり、蓄えるためには社員生活を安易に辞める訳にはいかなかった。
「そーだよなー。そんなに甘いわけないよなー。」
最初は俄かに月々2万円で生活していけるかと安易な発想から入ったが、すぐと、そんなわけないという事に気がつく。
「あーあ、また夢を見ちゃったなぁ。」
そうつぶやく花岡くんであった。
しかし、今回花岡くんはまだ諦めないのである!
「いや、待てよ…。」
(まだつづく!)
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