あの子はどこに?
ツヨシ
第1話
俺のいとこに、今の日本では考えられないくらいに貧乏な生活をしている一家がいる。
住んでいるところは親族の田畑の中に自分で建てた小屋で、トタンと木材で出来ているのだが、普通の人なら物置にもしないようなしろものだ。
食べるものはその親族が採れた野菜の一部を分け与えたりもしているが、兼業農家のあまり物などたいした量ではなく、そんなものでは全然足りなかった。
そこで川で魚を釣ったり、山に入って山菜を採ったりしていたのだが、それでも腹が満たされない場合は、その辺の雑草を食べていたというからすざまじい。
服も親族のお下がりなのだが、その辺のホームレス以上にぼろぼろになっていた。
家族構成は四人。
俺のいとこである父親とその妻。
そして十歳の女の子と五歳の男の子だ。
当然両親ともに仕事はしておらず、二人の子供は学校にも通っていなかった。
と言うか、子供の出生登録をちゃんと出しているかどうかも怪しいと言う話だ。
畑の持ち主である親族はそれなりに気を使っていたようだが、その人自身も裕福とはいえない身分なので、救いの手にも限界があった。
そんな折、いとこの子供が一人、行方不明になったと言う話が俺の耳に届いてきた。
両親は勿論のこと、親族や警察までが捜したのだが、見つからないと言う。
とりあえず数日間様子を見ていた俺だが、まだ見つからないと言うので、ある人に連絡を入れることにした。
知り合いの知り合い程度のつきあいのある占い師で、二度ほど助けてもらったことがある。
特に透視能力に優れていて、その的中率が百パーセントに近い一種の超能力者だ。
「いいですよ」
彼は二つ返事で引き受けてくれた。
年齢は三十を少し超えているそうだが、その風貌と服装は、頭の軽い大学生にしか見えなかった。
俺も最初に見たときは「こんなやつで大丈夫なのか?」と思ったものだが、人は見かけによらないとはよく言ったものだ。
会社で紛失していた重要書類を見事に探し当てたのだ。
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