第147話 さらなる展開(2)

「え~! ほんっとおいしい! レストランって感じですよ!、コレ!」


夏希はハンバーグを頬張って大きな声で感動した。


「ああ、うるさい・・」


八神はメイワクそうに言った。


「店出せますって! ほんと! あ~、おうちでこんなハンバーグ食べられるなんて・・。 美咲さんは幸せですね。」


夏希は夢中で食べた。


美咲はそんな夏希の様子をうかがうようにジーっと見てしまった。


「で。 パーティーはいつやるんですか?」


夏希はおかわりまでして、ようやく食べ終わった。


「は? パーティー?」


八神は不思議な顔をした。


「だから! 八神さんと美咲さんの結婚パーティー!」


と言うと、真尋と絵梨沙は驚いて、


「え、八神、結婚すんの??」


ガバっと八神を見た。


「えっ・・あ~。 なんか知らないけど・・来年の3月に、」


ボーっとして言うと、


「なんか知らないけどってなによ、」


美咲は不満そうに言った。



「ほんとに? わー、おめでとうございます! なんか急展開でしたね、」


絵梨沙も喜んだ。


「おれに言えよ、加瀬よりも先に!」


真尋はヘンなところで張り合った。


「もう、成り行き上しょうがなかったんですよ。 そんなさわぐもんじゃないから。」


「結婚式、当然、おれも呼ぶんだろうなあ。」


半ば脅迫するように言う真尋に、


「えっ、いや! 勝沼でやるんで。 ほんと親戚と地元の友達くらいで。 まあ、でも一応志藤さんは上司として来ていただこうかと思っているんですけど、」


八神は怯みながら言った。


「はあ? 志藤さん? じゃなくて、おれだろ!」


無理なことを言う彼に


「真尋ってば。 そんなの強引に言っても、」


絵梨沙がたしなめた。


「もうね、強引に日にちまで決められて。こっちはもう忙しいのに大変ですよ。招待客まで頭回らなくて、」


八神はほとほと疲れた顔をした。


「南さんにも呼んでってすっごい言われてるんだけど、」


美咲が言う。


「あの人外すとうるさいからなァ。 ほんと、どーしよ。」


「だから。こっちでもみんなでパーティーやろって南さんが。」


夏希が明るく言った。


「パーティーかあ、」


真尋は頷く。


「でもね! 披露宴2回やるほど金ないッスから!」


八神はそこを強調した。



しかし、それを無視するように真尋は


「んじゃあ、ここでやりゃいいじゃん。」


と言い出した。


「は・・?」


「まあ、ここはそんなに広くないから騒げないけど! 階下のオヤジんとこのリビングだったら20畳以上あるしさあ。 ピアノもあるし。 」


「って! 社長んちって!」


八神は焦った。


「そうねぇ。 事業部のみなさんを呼んでパーティーくらいはできるわよね、」


絵梨沙も頷いた。


「そ、そんな!」


「えー! たのしそ~! あたし、司会とかやってもいいです!」


夏希は張り切って手を挙げた。


「バカか?」


八神はもう勝手に走り出す周囲にパニくり、となりにいた夏希の頭をペシっと叩いた。


「ウエディングケーキとかも手作りとか、どう?」


真尋はどんどん身を乗り出す。


「はあ? 誰が作るんスか、」


「八神に決まってんだろ!」


「あ、それいいです! 前に八神さん、カップケーキを作ってきてくれたことあったんですけど! めちゃくちゃ美味しかった~!」


夏希も手を叩いて言った。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る