『復讐するは我にあり』 遠回しな父殺し
実在した「西口彰事件」を元に描かれた佐木隆三の小説を、映画化。
緒形拳扮する主人公は、知り合いの集金人と運転手を殺害し、現金を奪って逃走した。
その後、弁護士を殺害してなりすまし、浜松の旅館の女将といい関係になって、潜伏を始める。
タイトルの意味は、「我」とは「神」のことだそうだ。
「悪を滅ぼすのは、神だけに許された特権」
という意味らしい。
実際、主人公の実家もクリスチャン家系である。
悪ガキだった主人公は更生のため、宗教系学校に通っていた。
が、相変わらず問題ばかり起こていたという。
西口事件に寄ると、借金返済のための犯行だったという。
だが、本作ではどうだろうか。
主人公には妻子がいた。
しかしお見合いで愛情がなく、主人公の素行不良に頭を抱えていた様子だ。
むしろ主人公の父親と睦まじかった。
肉体関係すらあった描写もある。
心はすでに、父親の方へ傾いていたらしい。
主人公は昔から、父親に対してコンプレックスを抱えていた。
数々の悪行も、父へのあてつけかと思わせるほどである。
正体が殺人鬼だと女将にバレて、清川虹子扮する女将の母親は、競艇で当てた金を渡して主人公に出ていってもらおうとする。
会話中、
「本当に殺したいやつを、殺せてないのでは?」
と、主人公は図星をつかれる。
作中でも、「本当に殺したい相手」について、主人公が苛立つシーンが随所に見られる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます