第59話 テロの恐怖
試合会場に向かう専用のチームバスの中で、今日の戦術について考えていた
相手は因縁のフランスのあの監督だ。
どっかからお金でも賄賂を貰っているのかと疑った事すらある
スタメンは次の通りだ。
後は選手の疲労とカードの状態に合わせて交代したい
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FW 山田一
FW 矢口 球
SH 中島 祐樹
SH 伊澤 真司
DMF 荻堂 匡史
DMF 根本 洋一
CB 貴田 陽介
CB 行徳 俊則
SB 鯉口 豊
SB 真島 壮平
GK 小林 厳
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得失点差で有利な相手チームなので、引いてくる可能性が高い。
そうすると、ドリブルで狭い処を打破しないといけない
幸いにして、うちのチームはドリブルが上手い選手は多いので、それほど俺は気にはしていない。
今回からはVARがあるから、相手も迂闊なことはできないだろうが、全員には警戒を呼び掛けた
今回のグループはうちも含めて波乱がおおい。
優勝チームなど選びようがなく、本命でもオッズは高いと誰かが言っていた
バスからおりて競技場に行く際に見かけない明らかな日本人サポーター以外のごつい男が2人程いる。
俺の中の何かが、警鐘を出していた。
選手がファンにサインをしている間も俺は二人の男から目を離さなかった。
警備に急いで伝えた。
警備員は二人に向かって走って行った時にナイフを取り出していたが幸いにも警備員に取り押さえられた。
全員が安心したが、俺は立てなくなってしまった。
恥ずかしい事だがビビッて足腰が立たなくなった
現場は騒然となった
俺は源とコーチ陣を呼んだ。スタメンと戦術面を語った。
救急車と医務室がスタジアムにあるのは正直助かった
医務室へ俺とコーチ陣と源は向かった
簡単な治療を受けながら質問した。このまま、指揮する事は可能かと
「腰はぎっくり腰かもしれないから様子を見る様に言われた」
「皆を纏める事ができるのはキャプテンの源しかいない頼む」
俺は協会の会長に電話した。
「鳴海君か、こっちでも速報出てるぞ。容態はどうだね」
「大丈夫だと思いますが、病院の検査結果を聞かないとわかりません」
「そうか、お前はもう帰って来い」
「残りますよ。まだ試合はあるし軽症だったらいけますから。それよりFIFAに延期をお願いできるでしょうか」
「わからんが、連絡してみるが期待するなよ」
「頼みます」
そう言っておれは救急車に乗った
病院に付くにはすごい時間が掛かった。何しろワールドカップの期間なので、人手溢れている
ぎっくり腰の方はレントゲンの結果待ちとなった。
病院にはTVが個室に付いてなかったが、付き添いで来た人がスマホで動画を見せてくれた
開始時間が30分遅れたが始まるそうだ。遅れたことにより他会場の結果が先に解るようになってしまった。アルゼンチンが苦戦していた。このままだろ得失点差で負ける可能性が出て来た
妻たちからも電話があった。来るという彼女を危険だからと留まらせるのは大変だった
今日はとても長い日になりそうだ
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